5.私かも
犬耳の少年のトッド君とはその場で別れた。心配しているご夫婦がいつ目覚めるかも分からないから、見守っていて貰う事にしたのだ。一般の人でも城には入れるらしいから、私が事情を聞いてくる事にした。でもトッド君は危機意識がちょっと心配です。いきなり異世界人と遭遇して、飛びついて来るように助けを求めちゃうんだからなー。
「・・・まあ、そもそもの原因は私かー・・・・・・」
トッド君は心当たりが全く無さそうだったし、私のフェロモンが作用しているかもという自意識過剰説がね、ひしひしとします。犬系のトッド君は大丈夫で、虫系のご夫婦が寝ている。門番さんも虫系だったよなー。甲冑だと思いたかったけど、自前っぽかったよ。道で不自然に昼寝していた人達もまた虫系の人達だった。この街は昆虫系の人が多いのかもなー。
「大きいなー・・・。よし」
「たのもー」と言いたかったけど、戦えないので止めました。お邪魔しますも、さっき街に入る時に言ったしなー。そんなことを考えながら、ぶらぶらお城に入る。やっぱり、門番さんは寝ています。困ったなー。虫系以外の人いるかな?
「お城の案内図なんて無いよねー。テーマパークじゃないんだからさ」
御尤も。周りの国と友好関係にあっても、城の内部構造は国家機密だよねー。このお城は廊下というか通路がそのまま部屋になっている構造のようで、扉も無い感じ。開口部が大きい方に行けばとも思ったのだけれど・・・。同じ大きさですね。これは迷子になるかも、だからといって壁に傷を付けて歩く訳にも行かないしなー。
砂を固めたような壁だからと触ってみたら、すっごく硬い。半端無い。爪は立ちそうにもない。壁を傷つけるのは無理、しないけどね。