2.何かがあるらしい
私は大学の研究室にいたはずだった。白昼夢じゃなければ。
「ここ、どこさ」
ちょっと歌いたくなった。
とりあえず、道らしきものの上に立っていたので、体の向きを変えずにそのまま前に進む。この道は、土を固めたような道で、大股で二歩分位の幅がある。道の周りは背の低い草地が広がっている。更に遠くには森だ。森からは遠いので、特に危険も感じないし、天気も良いので歩く。ここが地球だと考えるならば、太陽は真上に近い位置にあるのでお昼前後だろう。
本当に何処だ? 地球にいるにしても、人もいない。車が通る道だったら危険だけれど、道の真ん中を行ってみよう。
程無く、街の立派な石というよりも砂色の煉瓦のような道と同じ色の大きな門が出現した。門番さんもいるよ。
「え? シエスタ? お昼寝とかありなの?」
何故か誰何してくるだろう門番さんは、警備の為であろう槍を持ったまま大きな門に寄りかかるようにして身動ぎもしない。周りを見渡すが誰もいないというか、皆さんお休み中だ。不自然な位に。え? どういうこと? この辺り危険なの? 眠気を誘う何かがあるの?
どうしようかと一瞬だけ迷ったが、門を潜る事にした。
「お邪魔しまーす」
始めの一歩。先程、踏み出したばっかりだけど。この街は砂の煉瓦で出来ているのかな。何処も彼処も砂色だ。割と乾燥してからっとした気候なので、こういう建材なのだろうなと考えつつ歩いているけれど、皆、寝ている? ちょっと不自然だよね。色々やり掛けで動きを止めているよ。