1.何らかが出てるらしいよ
友人の大学院生に協力する形で、私は大学に来ていた。友人は変人ながらも頭は良く、普通に名の知れた大学に行って、そのまま大学院まで進学していた。それは知っていたのだけれど・・・。冗談で話したことから、まさか大学に呼ばれるとは思わなかったー。
何を話したかって? あるものに好かれ過ぎるって事だったんだけど。酒の肴にね。ひと月に一度、いつもの居酒屋でおしゃべりして、解散。私が就職して友人が大学に入ってからは、これが続いている。たまにふた月とか開くけど。そんな普通の会話に喰い付かれるとは考えてもいなかった。
「え? 本当? ちょっと、大学に来て、研究させてくれない?」
「は? 酔ってる?」
友人は酒に強いが聞かずにはいられなかった。
「いや大丈夫。痛い事はしないから」
「それは、お願いしとくわー。で、何で?」
「あれ? 言ってなかったけ? 私、それ研究対象なんだ」
もしかして話してくれていたかもしれないけど、研究の話は難しすぎるよ。聞くは聞くけど、覚えていないよ。
「・・・へー」
「多分、何らかの物質が出ているから、そういう反応なんだと思うんだよね」
「ふーん」
本気だとは思わなかったー。これが本音。有休をとって協力しに来ましたよ。きっと気のせいとか、よく分からなかったとか、検出できなかっただと思うんだよね。友人からも一応、説明されたしね。ちょっとした気分転換だとさ。
「教授にも許可貰ってるんだー」
「ほー。こんな所なんだね」
「うん。最近、行き詰っててさ」
そう友人が話した所までは覚えている。