極楽、地獄へと至る道
閻魔王は木製の粗末な机と座り心地の悪そうな椅子に座り、ややうつむき加減で書きものやら調べ物をしていた。
やがて一人がおずおずと閻魔王の前に現れると
閻魔王はその男をチラッと見て言った。
「ああ、お前か、道は2つある好きな方へ行くがよい」
見ると机の上に
「⇒極楽」
「⇐地獄」
と書かれたプレートが置いてあり
それぞれの方向に先の見えぬ道が繋がっていた
男はうなだれながら地獄へと至る道へ進んだが
極楽の道からたくさんの手が伸びてきて極楽へと連れ去ってしまった
しばらくするともう一人現れ
閻魔王は先ほどと同じことを告げた
その者は意気揚々と極楽への道へと進んだ
すると何百何千万もの手が現れてあっという間に地獄へと引きずり込んだ
閻魔王は少しも手を止めず
「あれだけの嘘と憎しみを抱えて行ける極楽があるだろうか」
とつぶやいた。
(注・・・note様へも投稿しています。)