99話 過去の記憶とイタズラ成功
4章スタートです!!
「はぁ、今月もノルマ達成ならずか...」
「ギマンそんなに焦る必要はないわよ。起業してまだ1年じゃない」
巴は俺の机にコーヒーが入ったカップを置く。
「巴の方こそ、もう少し慌てる素振りぐらい見したらどうなんだ?」
そう言って巴が容れてくれたコーヒーを飲みながら、パソコンに映し出される数字と睨めっこしていた。
「あら、秘書でもいいから力になってくれって言ってきたのはどこの誰だったかしら?」
「わかった降参だよ。でもなんで大手製薬会社に勤めて人生順風満帆だったのに俺の所に来てくれたんだ?」
巴とは、小学校からの幼馴染だ。
昔から運動と勉強もでき、文武両道とはまさしく巴の為にある言葉なのではないのかと思うくらい凄かった。
俺も巴程ではないが、そつなくこなしてきた。
小.中.高.大学と一緒で、もうほとんど腐れ縁みたいな関係になっていた。
俺は大学で就職活動をしていく上で、自分で起業した方がいいのではないのかと感じ、起業関する本を読み漁り、セミナーなども受け、一浪したのちに今の会社を立ち上げた。
巴は俺が一浪している間に、大手製薬会社に入社していた。
1人でそつなくこなしてきた俺だが、起業してすぐに人手が足りないと気づき、1番長い付き合いで頼りにもなる巴にダメ元で声をかけた。
だが、巴は二つ返事で了承してくれた。
未だにその理由を聞いてるのだが、いつもはぐらかされていた。
「前からずっと言ってるでしょ? それは貴方自身で答えを見つけてって。当たってたら、ちゃんと正解って言ってあげるわ」
いつもこれだ...。ちなみに俺はまだこの問題に正解していない。
そうあの日までは.....
「ギ...ギマン...私はあなたの事がずっと....」
巴が虚ろな目で最後に紡いだ言葉を俺は生涯忘れることはないだろう。
そうして俺は夢から醒める。
またこの夢か...とナナシ戦であの光景を思い出してから、度々夢に出てくるようになった。
はぁとため息をつきながら寝返りをうち、横を見る。
「巴?」
そこにはさっきまで夢に出てきた巴が寝ていた。
だがそう感じたのも一瞬で、俺は布団を剥ぎ、いつの間にか寝床に侵入した人物に話しかける。
「アリステラ、なんでお前がここにいるんだ?」
「あらバレちゃった。巴だと思って抱きついてきてもいいのよ?」
そう言って両手を広げるアリステラの今の格好はスケスケのレースで、とても直視していいようなものではなかった。
俺はなるべくアリステラを見ないようにする。
「昨日結局空き部屋が腐るほどあるから、そっちで寝るって事になっただろう」
昨夜カイルがバカな事を言って、ヘクターと一触即発の空気になった時に、俺が空き部屋があるから使えと言って、何とか収まったのに、この状況はなんなんだ。
「フフッ。初めての寝床だったから緊張しちゃって寝付けなかったから来ちゃった」
「来ちゃったじゃないんだよ。扉にはちゃんと鍵かけてあったろ。どうやって入ってきたんだよ」
リーシャちゃんとカオリとアザミが俺の部屋で寝ていた事件以降、俺は鍵を厳重にする事を徹底していたのに何故かアリステラがここにいる。
「簡単よ。霧になって窓の隙間から入ってしまえばいいのだから」
アリステラ人差し指をたてながらドヤ顔する。
くっそ。霧になれるってホント厄介な能力身につけやがってと俺は思いながらため息を吐く。
「わかった。今回だけは見逃してやるが、次勝手に俺の寝床に入ったら許さないぞ?」
「嫌がっている割には夜中私を抱いて離さなかったじゃない」
「....そんな証拠はない。いいからさっさと出ていけ」
こいつと話していると巴を思い出してしまうから調子でくるう。
俺がシッシッと手で出ていけとジェスチャーすると、扉をノックする音が聞こえる。
「ギマンさーん!朝ご飯出来ましたよー! ほんとこの扉の鍵開きませんねぇ...」
最後の方は聞こえなかったが、リーシャちゃんがいつも通り、朝ご飯が出来たと言ってきてくれるが、アリステラがいる今開けるとヤバい...。
俺がどうしようか焦っていると
「ギマン様。アリステラ様がお部屋にいらっしゃらなかったのですが、何か知りませんか? 私のアリステラ様レーダーによるとここにいる可能性が高いのですけど。まさかアリステラ様と一緒に寝てはいませんよね?」
アリステラの側近ヘクターの変なレーダーで、アリステラがここにいることがバレてしまった。
無駄に精巧なレーダーだな全く!
ヘクターのその言葉に、アザミとカオリも俺の部屋に近寄ってくる。
「ギマンさん。まさかそんなことないですよね?」
「ギマン。早く扉を開けろ」
「ギマン様。早く。泥棒猫排除する」
扉の向こうから、女性陣3人の絶対零度の声が聞こえてきて、俺は朝からどうやって乗り切ろうか、魔王との戦闘よりも頭をフル回転させて言い訳を考える羽目になった。
その様子をアリステラはイタズラが成功したかのように笑いながら眺めていた。
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