96話 アリステラと面影
ギマン視点へと戻ります。
お読み下さりありがとうございます!
イ・ロスを倒し終えた俺は仲間の所へ向かおうとした。
「ギマン!無事だったか」
近くにいたのか、カオリが俺の方へ駆け寄ってくる。
「カオリだけか、他のみんなは?それにしても左肩大丈夫なのか?」
左肩から血を流しているカオリを見て、心配する。
「私の作戦で皆、それぞれであのピエロ達の相手をする事になった。左肩は大した怪我じゃない」
集団戦をするより、個人個人で相手した方がいいとカオリが判断したのか。
大した怪我じゃないって言ってるけど、左肩の傷は結構深いように見えた。
「おーい!みんな〜!無事だったか!」
「ギマン様!ご無事だったのですね」
今度はもっと重傷な怪我をしたカイルとアザミがやってくる。
「カイル、お前左足どうした。それに2人共ひでぇ火傷だな。早くリーシャちゃんに診てもらわないとな」
ノスクレイ要塞でカイルと一悶着あった俺は、心配していたが、吹っ切れた様子のカイルを見て、少し安心した。
「皆さ〜ん!ご無事でしたか〜!」
噂をするとリーシャちゃんが手を振りながら、こちらに走ってくる。
「リーシャちゃんも無事だったんだな。良かった。いきなりで悪いんだが、3人の手当てをまかせてもいいか? その前にカイル、その左足の代わりにしてるやつを引き抜かないとな」
こんな事までして戦ってたのか...俺はカイルの左足の状態を見て感じた。
その後、ぎゃあぎゃあうるさいカイルを無視しながら、引き抜いたけど。
「もちろんです! 《天使の聖域》!」
抜き終わったあと、リーシャちゃんはすぐに回復魔法をかける。
「いつもありがとねリーシャちゃん。そして皆もよく頑張った」
俺は労いの言葉を皆にかける。
「今回こそはほんとに死ぬかと思ったけどな!」
「バカイル無茶しすぎ」
「手強い相手だった...」
「私も危なかったです」
カイル、アザミ、カオリ、リーシャちゃんの順番に今回の戦いの感想を述べる。
皆の様子を見ると、かなり苦戦した代償として、良い経験がつめたようだ。
「あとはアリステラか」
ステータスを見た感じ大丈夫だとは思うが、一応様子を見に行く。
すると、アリステラはどこから出したのか、外に豪華な机と椅子を置いていて、優雅にティーブレイクをしていた。
「あら、遅かったわね。助けても良かったのだけど、信頼されていない私が来るのも嫌だろうと思ったし、ここでゆっくりさせてもらってたわ」
「あのピエロ達はどうしたんだ?」
逃がしたとか言ったらこいつとの共闘はなしにしてやろうと思ったが
「そう言うと思って、ちゃんと死体は保管してあるわ」
アリステラが指を鳴らすと、俺達の前に泣き顔、眠り顔、困り顔のピエロが無造作に地面に置かれる。
「生首だと、さっきみたいにそこのお嬢さんが気分を悪くしちゃうと思ったから、ちゃんと胴体も残した置いたわ」
偉いでしょ?みたいな表情を浮かべて俺を見るアリステラ。
俺は《神の瞳》で地面に置かれたピエロ達を見る。
3人ともしっかりHPが0になっており、嘘ではないことを確かめる。
「これで少しは信用してくれても良いんじゃないかしら?今回の襲撃に関しては私も被害者なのだから」
確かに、今回の襲撃に関してはアリステラは白かもしれない。
なぜなら、あの泣き顔のピエロは、多分俺の中に残っていたナナシの魔力を感知したと言っていた。
そうしたら、今回の密談場所がバレたのは俺のせい。
「わかった。今回に関してはあんたがいてくれて助かった。俺達だけだと危なかった。だがまだ、共闘に関しての返事は1回連合国に持ち帰り、話し合ってから決めたい。それでいいか?」
「フフッ。ホントに疑り深いのね。わかった、良い返事を期待してるわ。あとあんたって呼び方はやめて欲しいわね。アリステラかアリスでいいわ。それとも巴の方が貴方にはいいかしら?」
俺の条件に了承したアリステラは、最後にからかってきた。
「わかった。アリステラ」
「フフッ。まぁ初めはそれでいいわ。それじゃあ私はお暇させてもらおうかしら。また会いましょうね。ギマン」
そう言ってアリステラは霧になり、彼方へと飛んで行った。
最後に俺の名前を呼んだ姿が巴と重なった。
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