94話 喧嘩と本音
お読み下さりありがとうございます!!
(やはりあの耳長族の小娘が厄介。勘が鋭いとかそういう次元では無い。私の行動を完全に見切っている。先に仕留める)
プライスは解放した槍を紡ぎ直し、右手に握りながら思考をまとめる。
アザミは地面にいては分が悪いと空中を蹴り、自由自在に移動しながらも、カイルに設置されている爆撃の場所を指示していた。
プライスの槍とアザミの双剣がぶつかり合う音と爆撃が鳴り響く。
カイルはそんな2人を見ながら、結局何も出来ていないと歯噛みする。
(くそっ!完全に足でまといじゃねぇかよ!《死と踊る》を使ったところで、今の俺なんかすぐに殺されちまう)
《金剛》と《剛腕》は確かに強いスキルだが、カイルはそれに頼りきりな所があった。
今になって後悔するがもう遅い。
アザミは必死に頑張ってはいるが、カイルのフォローをしながら、爆撃と糸とプライスを相手にしている。
時間が経つ度に劣勢になるのはどう考えてもアザミだろう。
そんな事は分かりきっているのに何も出来ないカイルはノスクレイ要塞に入ってギマンと話した事を思い出していた。
「なぁギマン。俺ってこのパーティーに必要か?」
ノスクレイ要塞に入って、約束の時間までまだ余裕があり、各々要塞を見て回ろうとした時、カイルはギマンに唐突に尋ねる。
「いきなりなんだよカイル。気持ち悪いな」
ギマンは要塞を徘徊しながら、言葉を返すが、いつもの感じとは違う空気に後ろを振り返り、カイルを見る。
珍しく真剣な表情をしていたカイルにギマンはため息をつく。
「はぁー、どうした?ランディスにコテンパンにされた事を気にしてんのか?」
「いやまぁそれもあるけど、俺はギマンみたいに頭も良くないし、リーシャみたいに魔法も上手じゃない。カオリとアザミはこの前の戦闘の時、めちゃくちゃ活躍してた。俺だけだ。俺だけ何もしてない」
カイルがここ最近、酒に走り1人でこもっていた理由はこの事なのかとギマンは思った。
「ギマンの事だからランディスにも会ったんだろ?あいつのスキル見たろ? 俺より壁役に適任だ。俺なんかスキルを使い果たしたらただの木偶の坊だ。だったら俺が抜けてランディスを...」
カイルが言葉を最後まで言い切る前に、ギマンの拳がカイルの顔面へと飛ぶ。
「いってぇな!何すんだよいきなり!」
いきなり殴られたカイルはギマンを睨む。
「ちったぁ目が覚めたか?お前がどうしてもパーティーを抜けたいって言うんなら止めはしない。俺は魔族と戦うつもりでいるから、死ぬ可能性の方が高いしな。でもな、そんなくだらない理由で抜けるのだけは許さねぇぞ」
「くだらない理由だと!?俺がどれだけ悩んでんのか知らねぇくせに!」
ギマンの言葉はカイルの琴線に触れ、怒り叫ぶ。
「あぁ知らねぇな! 1人で酒飲みながら女々しく悩んでいる奴の悩みなんか!」
「なんだと!この野郎!」
カイルはギマンの胸ぐらを掴んで殴る。
ギマンは避けられた拳を敢えて避けなかった。
2人はそのまま取っ組み合いになり、お互い殴り合う。
「俺は凡人なんだよ!お前らみたいに才能もないし、魔族と戦うのも怖ぇ!」
「じゃあなんでお前は今までの戦いについてきたんだよ! 成り行きか!? 違うだろうが!」
ギマンの渾身の一撃を貰い、カイルは地面に倒れる。
地面に倒れたカイルは涙を流しながら語った。
「グッ...あぁ、最初はリーシャを助けてくれたお前に...恩返ししたくてついてきた。 ズルッ...!! でもいつの間にか皆といる時間がすげぇ楽しくなった! この時間がいつまでも続けばと、こいつらとなら魔族なんか怖くねぇと! でも...でも...」
四つん這いになり、地面に涙を流しなら感情を爆発させるカイルにギマンは近づく座り込む。
「あのなぁカイル。死ぬことが怖くない奴なんかいねぇんだよ。それでも守りたい者のために皆頑張ってんだ。お前もそうじゃないのか? 九頭龍の時、俺達の前に立って攻撃を受け止めた背中かっこよかったぞ。タリスマン戦の時も、お前なら持ち堪えてくれるって思ったから、血狂月狼の群れを任した。俺は他の誰でもない、カイルだから信頼して任せられる。みんなも言わないだけで多分そう思ってるぞ。ったく、恥ずかしい事言わせんじゃねぇよ。まぁ俺から言える事はこのぐらいだ。後は自分で決めろ」
そう言ってギマンはカイルの肩を叩き、去っていく。
その後、回復魔法を無駄に使わせて、2人共リーシャに怒られた。
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