93話 逆鱗と糸怨槍
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「クックック、ハッハッハ! グレートサプライズ! 私がこの爆撃を使うのはとっておきの相手だけなんですよ?感謝してくださいね!と言っても感謝出来る口も体も残ってないでしょうけどね」
プライスは自身が起こした爆撃を見て勝ちを確信して、左足を吹き飛ばれ、未だに動けないでいるカイルへ視線をうつす。
「あとはあそこにいる芋虫を華麗に爆撃したら終わりですか。最後は少しつまらないですが、いいでしょう」
「グッ...くそ! 動け! 俺の体!」
カイルは目の前でアザミを殺された悔しいさと何も出来ない自分に腹を立て、斧を地面に刺して、何とか立ち上がろうとした。
「余計な小細工されると面倒なので、早く終わらせ...」
「《双王連撃》」
プライスが言葉を最後まで言い切る前に、空中からアザミがいきなり飛び出し、64の高速連撃を放つ。
完璧に油断していたプライスはその連撃をモロに受ける。
「グハッ! アヒッ! クッ...《不意打ちの爆撃》!」
連撃を受けながらプライスは自身の左腕を自ら爆破して難を逃れる。
「ちっ...全部当たらなかった」
アザミの姿はプライスの《連鎖する爆撃》の大爆発を受けたとは思えない。
「な...何故です...。空中にいるあなたにはあの爆撃は避けれないはず...」
プライスは左腕を失い、体には高速連撃による傷跡が残っていながら、アザミを見て、信じられないといった表情を浮かべいた。
「ん。空蹴ったら移動できた」
プライスの問いかけにアザミは一言。
「空を蹴って移動したなんて...そんな芸当、ただの耳長族が出来るわけ無いでしょ!」
その無茶苦茶の一言にプライスがキレる。
「おい!アザミ大丈夫なのか!」
斧を支えにカイルがアザミの傍へと向かう。
「ん。余裕」とピースサインをするアザミだが、全くの無傷とまではいかず、所々に痣や切り傷があった。
「《火炎》!《土流岸》! ハァ...ハァ...俺はリーシャみたいに魔法が上手くねぇから、こんくらいしか出来ねぇけど、これで一応戦えるぜ!」
アザミの姿を見て自分が情けなくなったカイルは、吹き飛ばれた箇所を火魔法で焼き、土魔法でその箇所を突き刺し、左足の代用とした。
強引すぎるその行動にアザミは驚くが、カイルの強い意志を感じる目を見て、言おうとした事を変える。
「足引っ張らないでね」
「おうよ!」
「あぁ...せっかくワイズウェイン様から頂いたお身体に、こんなに傷が入ってしまいました。もうサプライズなんてどうでもいいです。全力で殺します」
プライスの中の逆鱗に触れたのか、今までの態度から一変して、静かに、そして確実に怒っていた。
「私の指示通りに動けるなら動いて」
アザミはそのプライスの様子にこれまで以上の嫌な予感を感じる。
「《糸魔法 蜘蛛の死糸》」
プライスが魔法を発動した瞬間、アザミとカイルの周囲に無数の糸が張り巡る。
「カイル、あの糸嫌な予感がビリビリする。多分私達の体なんか切断出来るほどの強度を持ってる」
アザミは自分の感覚に従い、あの糸に触れてはいけないと忠告する。
「《糸魔法 糸怨槍」
プライスの残った右手で糸で出来た槍を握る。
「爆撃の設置も完了です。さぁ確実に殺します」
プライスはそう言うと自身が張った糸を高速で移動する。
「来る!右に避けて!」
その言葉に瞬時にカイルは従い、右に避ける。
すると、先程までカイルがいた場所に槍が刺さっていた。
「速すぎて目じゃ追いつけねぇ! アザミいったいどうやって見極めてんだよ!」
「うるさい!集中が散る!」
今のアザミにカイルの問いかけに答えている暇などなかった。
「糸怨槍解放」
「!?その槍から離れて!」
プライスの言葉に糸の槍が解けて、高速で飛来する。
紙一重でアザミの叫びが間に合い、カイルはバラバラにならずにすんだが、離れた先が爆破する。
土魔法で何とか衝撃を抑えたが、糸による攻撃と爆撃。2つの処理をしながら戦わなければいけない、今の2人にとっては絶望にも等しかった。
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