85話 怒りのピエロとイ・ロス
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俺は目の前の怒った顔のピエロのステータスを見る。
『イ・ロス』 傀儡状態
種族名:人形 主人:魔神ワイズウェイン
Lv:950
HP:100000
MP:1000
攻撃:50000
防御:50000
魔法:1000
速さ:32000
知能:100
器用:0
スキル
《憤怒》 怒りによって攻撃、防御を常時1.5倍にする。その代わり、魔法が一切使えなくなる。
《引き寄せ》 3m範囲の対象を引き寄せる。
《自爆》 己の命が尽きた時、周囲50mを巻き込む大爆発を起こす。
ステータスを見る限り、ゴリゴリのアタッカー型だ。
《憤怒》のスキルを使えば、攻撃と防御は7万5000と跳ね上がる。《引き寄せ》のスキルを使われて殴られたらさすがにやばい。
そして、《自爆》というスキル。50mにも及ぶ大爆発なんてふざけてやがる。
俺が《自爆》のスキルに対してどう処理をしようと考えていると、怒った顔のピエロ、イ・ロスが動き出す。
「どうした?俺を早く始末するんだろ?かかってこいよ!《憤怒》!」
仕掛けてこない俺に痺れを切らしたのか、イ・ロスが《憤怒》のスキルを発動し突進してくる。
スキルを発動した途端に赤いオーラを身にまとい、右腕を大きく振りかぶり、殴ろうとする。
俺は左ステップに突進してくるイ・ロスをかわし、がら空きの胴体に叢雲で斬りつける。
だが、イ・ロスはかわされた瞬間にその場で一回転しながら、回し蹴りを繰り出してきた。
その蹴りを叢雲で受け止める。
攻撃7万5000の威力は凄まじく、飛ばされはしなかったが後ろに仰け反ってしまう。
「クッ!」
「まだまだぁ!!」
その俺にイ・ロスの拳の連打が襲いかかる。
俺は叢雲でモロに受け止めず、受け流しながら、魔法による攻撃を行うが、イ・ロスは防御態勢をとらない。
体に火傷や切り傷を作りながらも、気にせず殴りかかってくる。
受け流した拳が、地面や壁を割っていく。1発でも受ければ致命傷になりうる攻撃の嵐を掻い潜る。
「くそっ!なぜ当たらん!」
自分だけが傷を負い、1発も相手に当てれない事に苛立つ。
二重複体戦での無数の即死ナイフと見えないナイフ相手と比較したらこんな連打、捌くのは容易い。
あの戦いを経て得たものは大きい。
後はこいつの防御をどうやって崩すかだが。
攻撃が当たらない俺に苛立ち、イ・ロスは新たなスキルを使う。
「《引き寄せ》!!」
右の手のひらを俺に向ける。すると俺は、その手に引き寄せられるかのような引力がかかる。
俺はその力にあえて抗わず、逆にその力を利用して地面を蹴り、イ・ロスに向かっていく。
「なっ!? ふん!自分から死にに来るとはな!」
そんな俺を見て、一瞬驚いた声をあげるが、都合のいいように解釈する。
こういうバカは錯覚で意識を持っていきやすい。
俺はあの瞬間にイ・ロスに錯覚をかけて、意識を少し操作しておいた。
イ・ロスはそうとも知らずに、左腕を大きく振りかぶり渾身の力で、向かって来る俺を殴ろうとする。
ここで俺は王都であらかじめコピーしておいたスキルを発動させる。
「《超密型方陣》」
アイテムボックスから叢雲を整備した時に、ザイードの工房で手に入れたダイヤモンドの盾を左手から取り出し、その上から土魔法を重ねがけして、イ・ロスからの殴打を耐える。
土魔法の壁は破壊され、ダイヤモンドの盾にヒビが入る。
しかし、何とか耐えきり、《超密度方陣》のスキルが発動する。
俺はダメージを吸収した盾でイ・ロスを殴る。
「グアッ!!! く、くそ!! 人間風情がぁぁ!!」
イ・ロスは自慢の拳による倍のダメージを受け、怒りのお面にヒビが入り、後ろにふらつく。
「お前は人間なめすぎだ。《剛腕》」
そこに、倍になった俺の攻撃をさらに剛腕によって100倍にする。
その状態で俺は《九鬼一閃》をイ・ロスに向けて放った。
さすがのイ・ロスの防御でも防ぎきれず、体がバラバラになる。
俺はすぐさま、そのバラバラになったイ・ロスの体の破片達を一つ残らず風魔法ですくい、上空へと飛ばした。
空に大爆発が起こり、その余波で暴風が吹き荒れる。
魔神ワイズウェインの側近のリーダー格、イ・ロスは呆気なく人間に大敗した。
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