84話 七耀道化会と急襲
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その声を聞いた瞬間の対応は、俺とアリステラが早かった。
俺はアリステラと話している時も常に戦闘態勢をとっていたので、窓にいるピエロに向けて《九鬼一閃》を放つ。
アリステラは窓に向けて右腕を振りかぶる。すると、5つの紅い軌跡を描いた爪撃が襲いかかる。
窓にいるピエロは俺達の攻撃をモロに受けたが、血も流さずにその場から消えた。
「今のがその側近の1人って言いたいのか?」
俺はこの状況を仕組んだのではないかと思われるアリステラを睨む。
「えぇそうよ。『七耀道化会』といって、魔神ワイズウェインの7人の側近達ね。強さは魔王よりだいぶ劣るといったところかしら」
アリステラはそう言いながらティーカップに口をつける。
襲われたというのに呑気な態度だな。
にしても、今ので完全に居場所がバレた。
「すまないギマン。《超聴覚》でも捉えきれなかった」
カオリが急襲された事に対して謝る。《超聴覚》でも捉えきれなかったというと、奴は突然現れたという事になる。
「いや大丈夫だ。気にするな」
アリステラと先程のピエロ、2度も侵入許した事にカオリはショックを受けている様子だ。
「それで、あんたがこの状況を仕組んだのか?」
「フフッ。まぁそう疑いたくもなるわよね。だけど私じゃないわ」
「どうやって証明する?」
「こうなった以上、私も戦うわ。3人ぐらい相手にしてあげるから残りはお願いするわ」
そう言ってアリステラは立ち上がる。
「待て。まだ話は終わってないぞ」
アリステラには色々とまだ聞きたい事がある。
「私もあなたとまだ話したいけれど、そんな時間はないと思うわよ?」
「なんだと?」
俺が理由を聞こうとした時、カオリが《超聴覚》で捉えた情報を伝えてきた。
「ギマン! 何かがこちらに高速で接近する音が聞こえた!」
「ね?」と言わんばかりの顔をアリステラは向ける。
今すぐこの女を問い詰めたいが、そうはいかないらしい。
「皆! 取り敢えずここから出て迎撃準備だ!」
俺の言葉に各々、武器を携えて外に出る。
そこには、要塞の壁の上に、それぞれ違う表情をしたピエロのお面を被った奴らが7人立っていた。
「クラヴィ。あの男がワイズウェイン様がおっしゃっていた男か?」
怒った顔のお面が先程、窓から覗いていた泣き顔のお面に問いかける。
「間違いない。あの男からはナナシの魔力を探知した」
無機質に答えるクラヴィと呼ばれた泣き顔のピエロ。
「見つけたのはいいが、1人余計な者がいるな。アリステラ! いったいどういう事だ?」
怒った顔のピエロがアリステラを見つけ、話しかける。
「私はこの人間達と組むことにしたのよ。そのまま帰るなら許してあげてもいいけど?」
「そうか。やはり貴様はワイズウェイン様を裏切ったのか。まぁいい、ついでだ。貴様も殺してやる」
「元から忠誠なんか誓った覚えなんてないのだけれど」
2人の会話から交渉が決裂したのは明らかだ。
俺はその隙に七人のピエロ達に《神の瞳》を使う。
怒った顔のピエロがリーダー格なのか、Lvは950と七人のうち一番高い。次に泣き顔、笑い顔、眠り顔、困り顔、驚き顔、真顔といった順番だ。
スキルを確認しようとした時、七人のピエロが散らばり、俺達の前に4人のピエロが現れる。
「アリステラには3人がかりでいけ。クラヴィ、レスト、フェイン、しくじるなよ」
アリステラの前には泣き顔、眠り顔、困り顔をしたピエロが相対していた。
「あら。あなたが相手しないなんて、すぐに片がつきそうね」
アリステラが怒った顔のピエロを挑発する。
「俺達の任務はあくまでこの男とその仲間の始末。貴様は後回しだ。こいつらを殺したらすぐに向かう」
そう言って俺たちを睥睨する。
「皆、この男は俺が相手する。他の3人任せられるか?なるべく早く倒してそっちに加勢する」
皆の負担を考えると、俺が2人くらい相手にしたかったが、目の前の男は強そうだ。
4人は俺の言葉に首を縦に振る。
「俺を早く倒すだと?生意気な人間だな。スクラップにしてやる」
怒った顔のピエロはガントレットを装着し、両手の拳を叩いた。
すぐ近くでは、笑い顔、驚き顔、真顔のピエロとカイル、リーシャちゃん、カオリ、アザミが相対する。
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