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81話 巴と野望

お読み頂きありがとうございます!





俺は魔王アリステラを見た瞬間、椅子から立ち上がり、こんな所にいるはずの無い人物の名前を漏らす。




(ともえ)なのか?」



俺の言葉に、周りの仲間もアリステラですら、何言ってんだこいつといった表情を浮かべる。



俺もそこで周りからの視線に気づき、「すまない、人違いをしてしまった」と言って椅子に座り直す。



改めてアリステラの顔を見ると、髪の色や瞳の色などは全く違うが、どことなく、(ともえ)の面影を感じる。




望月 巴(もちづき ともえ)とは、元の世界で俺の為に命を奪われた女性の名前だ。



あの経験があったからこそ、俺は騙されない知恵を学び、誰とも関わりを持とうとも思わなくなった。



今考えると、その(ともえ)がこんな所にいる訳がない。そう頭に刻み込む。




「人違いをされたのは初めてよ。その人は余程綺麗な人だったのでしょね」




アリステラは自分の容姿の事を分かっているのか、茶化すような発言をする。



「ギマン大丈夫か?(ともえ)って誰なんだ?」



カイルは俺に耳打ちしてきたが、「いや、何でもない」と言って誤魔化した。



アリステラが部屋に侵入して来たのを《超聴覚》で察知したのか、カオリとリーシャちゃんが戻ってきた。



「すまない。風の音で全く気づけなかった」



カオリは謝るが、まさか俺も霧化して来るとは思わなかったので、カオリのせいではないだろう。



「これで全員? じゃあさっそく話し合いにうつりましょ」




アリステラはカオリとリーシャちゃんを見て、多勢に無勢な状況でも関係なく話を進めた。



俺達5人は座り、対面にアリステラ1人だけとなった。



「それで俺に会いたいと言った理由はなんだ?」



ヘクターと会った時と同じように単刀直入に聞く。



「随分直球なのね。私も長居はするつもりはないから良いのだけど」



アリステラはそう言って腕を組む。



「じゃあ本題から入りましょう。私と協力して魔神ワイズウェインを殺してほしいの」



アリステラの発言に、俺達は時が止まったかのような感覚になった。




「い、今なんて?」



言葉の意味は理解しているが、聞き返さずにはいられなかった。



「まぁ、動揺するのも無理ないでしょうね。こんな事、他の魔王や魔神にも言えないから」



魔王が魔神を殺したいなど普通に考えるとありえない事だ。



しかも、アリステラが口にした魔神の名前を俺は知っている。



二重複体(ドッペルゲンガー)は変装した姿の事を、魔神ワイズウェインと言っていた。



あのピエロのお面を被った魔神だ。



「何で魔神を殺したいんだ?」



俺は当然の疑問をアリステラに投げかける。



「それはね、魔神ワイズウェインを殺して、神格を得る事によって私が魔神になる為よ」



その言葉を発している時のアリステラの目が、虚ろになっていたが、そんな事は気にならなかった。



そういえば二重複体(ドッペルゲンガー)が言ってたな。



魔神と魔王の違いは神格があるかないかだと。



その神格を魔神から取り戻す為に俺はここに来たのだが、今はアリステラとの話に集中しよう。



「あなた達も魔神の1人を始末できる。私も野望を果たせる。どう?どちらにも利があると思わない?」



確かに俺達だけで魔神を相手にするのと、魔王と共闘して相手にするのとでは大きく違いがあるだろう。



「その話だけ聞くと利があるな。だけど、魔神になったあんたが人類に危害を加えないという保証はないだろう。更にまだ共闘出来るほどあんたを信頼も信用もしちゃいない。あんたの部下、タリスマンって知ってるだろ? そいつにされた事も水に流そうとは思ってもいない」




ここではい分かりました、なんて言うわけがない。



俺はアリステラからの返答を待つ。



「まぁ私もそう簡単に話が収まるとは思っていないわ。タリスマンの件に関しては謝罪しようと思っていた所よ。私の警告を無視して人間にちょっかい出していたからね。私はただ魔神になって神格を得たいだけよ。人間になんか興味無いわ。信頼、信用ね、それはこれからの行動で判断してとしか言えないわね。手始めにこんなのはどうかしら」





アリステラがそう言って、指を鳴らすと会議室の机の上に、5つの生首が無造作に置かれた。





✩皆様にお願い✩


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