76話 苛立ちと座標転移
お読み頂きありがとうございます!
「という条件なら会うと申してきました」
ヘクターはカフェ【マグノリア】から出たあと、すぐに主の元へと帰還し、先程人間と話した条件を伝えた。
「そ。良いでしょう。会うわ」
アリステラはその条件を聞いても、関係ないかのように返事をした。
「ですが、向こうは1人で来るとは言っておりません。序列が13位とはいえ、魔王を倒した人間とその他大勢と1人で会うとは危険すぎます」
さすがのヘクターもこれには苦言を呈した。
「ヘクター、あなたいつから私の心配を出来る程偉くなったのかしら? 私は会うと決めたの。早く手配しなさい」
ヘクターの言葉に、アリステラは少し苛立ちを含んだ言葉を放つ。
「はっ、申し訳ございません。直ちに手配して参ります」
ヘクターは体を少し震わせながら従った。
「私が人間と会う場所の周辺で待機する事も禁ずるわ。あなた達はここで大人しくしていなさい。それとも私が人間に敗北するとでも?」
「い、いえそんな事は決して思っておりません。出過ぎた真似をしました」
「だったら早く行きなさい」
ヘクターは、主を怒らせた事を反省しつつ、その場を音も無く去っていった。
俺はヘクターが去った後、まだ【マグノリア】にいた。
なぜなら、先程《神の瞳》でヘクターのステータスを見て、アリステラの返事がすぐに聞けるかと思ったからだ。
『ヘクター』男性
種族名:公爵吸血鬼
Lv:850
HP:70100
MP:100000
攻撃:38000
防御:38000
魔法:60000
速さ:40000
知能:1600
器用:1500
スキル
《不死》HPがゼロになっても死なない。
《眷属化》己の血を分け与えた者を眷属にする。
《眷属召喚》眷属を召喚する。
《霧化》身体を霧状に変化させる。物理攻撃無効
《赫十字双撃》己の爪を交差し振るう事で赫斬撃を飛ばす。命中した相手を失血死させる。
《血液魔法》己の血液を操る魔法
を使える。
《座標転移》 座標を設定した位置に転移できる。設定上限数5
《透明化》30秒間透明化になる。姿、気配を完全に遮断出来る。
Lvはタリスマンより250も上だ。スキルもタリスマンと殆ど同じだが、下の2つが違う。
俺がここにまだいる理由は《座標転移》のスキルがあるからだ。
忠臣そうなヘクターがアリステラの元に座標を設定していない訳がない。アリステラの会いたい具合を加味して、あの条件で会うだろうと俺はみていた。
だからヘクターが、主の言葉をすぐに伝える為、ここにまた戻ってくるか、俺の家に手紙を置きにいくと思っている。
頼んだコーヒーを飲みながら待っていると、体感で5分しかたっていないと思うが、ヘクターが再び現れた。
「気配がまだこちらから動いていなかったので来ました。もしかして、こうなる事が分かっていましたか?」
そう言いながら、ヘクターは先程自分が座っていた席へと座る。
「ん?いや俺はただここの美味いコーヒーを味わっていただけだが?」
ヘクターから怪しまれたがしらを切る。
「そういう事にしておきましょう。早速ですが、アリステラ様からの返事を伝えます。先程言われた条件で良いそうです。日時と場所はもうお決まりでしょうか?」
ヘクターは俺が何も話す気が無いのを察してか、話を流した。
ヘクターを待っている時、俺は日時と場所を既に決めていた。
「日時は明日の午後12時。場所はノスクレイ要塞だ」
「わかりました。主に伝えます。それでは」
ヘクターはもう用はないと再び去っていく。
俺もヘクターが出たあとに、店員に「ご馳走様」と告げ、カフェ【マグノリア】を出る。
さてと、皆にこの事伝えたらどんな反応するかな。と思いつつも帰路につく。
「面白い!」「続きが気になる!!」と思った方は、ポイント評価、ブックマークお願いします。




