69話 デュランダルと殺気
お読み頂きありがとうございます!!
勇者スバルの発言に、その場は騒然とした。
「ギマンの実力とお主とでは天と地程の差がある。魔族に遊ばれていたお主とは違うんじゃ。本気の魔族、魔王に打ち勝ったのじゃぞ」
そんな中、面識があるのか、スイエルが勇者スバルに近づき諭した。
「スイエルさんまであの男の味方をするんですか! 勇者の僕に色々と教えてくれたじゃないですか!魔族は勇者である僕が倒さなきゃダメなんだ! お前が英雄だなんて認めないぞ!」
だが勇者スバルは子供みたいに駄々をこねる。
俺はデノンハウザーに目配せすると、首を振った。
「あやつは相当な頑固者でな。1度あぁなると言葉だけでは止められん」
勇者だからって教育を甘くしたのか。やれやれだな。
あのような相手には1度絶対的な格差を教えとかないと一生言ってきそうだな。
俺は未だに説得しているスイエルの肩を叩き、どいてもらう。
「いいぞ。決闘だったよな? ルールはなんだ? どちらかが死ぬまでか?」
勇者スバルはその言葉に少しだけ怖気付いたが、意固地になっているのか言い返してきた。
「もちろんそのつもりだ! 偽英雄め! 僕が本性を暴いてやる!」
「今言った言葉後悔するなよ。スイエル。審判頼めるか? 他のみんな、すまないが少しだけ時間をくれ」
「もちろんじゃ」
その言葉にスイエルは了承し、他の皆も部屋の端っこに固まり、中央に開けたスペースが出来た。
「偽物の割に度胸はあるようだな。それでも勝つのは僕だけどね。来い!《宝剣デュランダル》」
勇者スバルが右手を天に掲げると、一瞬光を放つと一振りの剣が握られていた。
勇者スバルは別に気にしてないが、あの剣は少し気になったので、新しく進化した《神の瞳》を使って見てみる。
『宝剣デュランダル』
決して破壊されない。一定の魔力を通すと滅殺の炎で対象を消滅するまで焼く。
すげー性能してんな。滅殺の炎ってのに触れるとヤバそうだな。
俺はアイテムボックスから叢雲を出して構えた。
スイエルに目配せをして、いつでもいけると伝える。
「お互い準備が出来たようじゃな。それでは始め!」
その声と同時に、勇者スバルは「《身体能力10倍》!」とスキルを使い突進してくる。
俺はそんな勇者スバルに向けて、5割くらいの殺気をぶつける。
今の俺のステータスでそんな事をすると、当然だが恐怖を感じない訳がない。勇者スバルも急停止して「ひぃ!」と叫ぶ。
そこに「恐怖で足が竦み、立てなくなる」と錯覚を発動させる。
勇者スバルは足がガクガクと震えだし、その場に座り込む。
そんな無様な姿をした勇者に向かって俺はゆっくりと歩く。
「く、来るなぁ!」と必死に後ろに這いずり、距離を保とうとしたが、遅すぎる。
俺は勇者スバルを見下すように目の前に立つ。
「お前が俺の事をどれだけ罵ろうが偽物扱いしようが勝手だけどな、ここに来た以上は、本気の覚悟で魔族に勝ちたい。強くなりたいって思った奴らだけなんだよ。魔族は勇者である自分が倒さなきゃダメ? だったら今から全部倒してこいよ。人類の今の現状を知っててそんな子供みたいに駄々こねんなら勇者辞めちまえ。」
少し熱くなって言いすぎてしまったが、これで少しは分かってくれるかと思って、勇者スバルを見ると、ギャン泣きしていた。
「うわぁぁぁぁん!ごめんなさぁぁぁい!だって悔しかったんだもん!僕勇者なのに弱くて、魔族に全く歯が立たなくて、でも勇者だから戦わなきゃいけなくて、それなのに、グスッ、いきなり、魔王を倒した英雄から指導を受けろって言われて、それで...」
俺はその姿を見て、殺気と錯覚を解除した。
「わかった。わかったら一旦落ち着け。大人げなかったな。お前の気持ちも知らずにキツいこと言って悪かったよ」
涙と鼻水でグシャグシャな顔をハンカチで拭いてやり、泣き止むまで傍にいてやる。
審判のスイエルは「えーっと、どうすればいいのじゃ?これ」と困惑していた。
他の皆はというと、最初の俺の殺気に当てられて、気絶する者や冷や汗をかいてる者がいた。
はぁ〜やりすぎてしまった。
最初の俺の印象は最悪で終わった。
✩皆様にお願い✩
ページ下部にある★★★★★マークの所を1〜5まで評価して欲しいですଘ(੭ˊ꒳ˋ)੭✧
執筆の励みになります!!
【ブックマーク】【感想】もお待ちしております。




