68話 呼び名と勇者
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俺はデノンハウザーとセラフィムに連れられ、訓練室へと案内される。
「儂とセラフィムはギマンに指導してもらうことになった。今回人数が多いという事もあって、参加者全員、第3希望まで出し合って、誰に指導してもらいたいか選んでもらった」
デノンハウザーは歩きながら説明してくれる。
「そしたら、断トツで第1希望はギマンが多かった。やはり、魔王を倒したお主の実力を見たい、指導してもらいたいと思っておるんだな。ちなみに最下位はあの髭面だ」
カイル哀れなり。そんなことも知らずに今頃はりきってるんだろうな。
「私はそれもありますが、やはりカッコイイ殿方に教えてもらいたいという気持ちがあります」
セラフィム王は照れながら、ドキッとすることを言ってくる。
「ワハハッ!それもあるのう。儂も昔は《人類一の美男子》と言われてたんだがの」
「あなたは《人類一の野蛮人》で通ってましたよ」
セラフィムがデノンハウザーの嘘の情報をさらっと訂正する。
デノンハウザーは自ら前線に出るほどの王だったと聞いてたから野蛮人であってるな。
「セラフィム王からかうのはやめてください」
「いえいえ、からかってなどおりませんよ。それと私にも、そこの野蛮人と同じ口調で大丈夫ですからね」
後ろを振り向き、大人の色気を出してくるセラフィムにたじろぐ。
「わ、わかったセラフィム...」
「よく出来ました」
頭をぽんぽんとされて、母性を感じてしまう。この人は危険だ、と頭の中で注意する。
「セラフィムよ。お主いい歳してまだ結婚してないから焦っておるのか?」
デノンハウザーのその言葉に空気が凍りついたような気がした。
「今なんと言いました?もう一度言ってみてください」
さっきまでの優しい表情が一変して、口元は笑っているが、目が冷えきっている。
俺はその表情を見た事があって戦慄する。この表情をしている女性に余計な事は決して言ってはいけない。
デノンハウザーもそれを察したのか、焦った声で「い、いや!歳を感じさせない若々しい美貌だの!と言ったんじゃ!」と言う。
その言葉に冷えきった空気が消え去った。
「まぁ!嬉しいですね!ありがとうございます」
セラフィムは満面の笑みを浮かべた。
俺とデノンハウザーは安堵の息を吐く。やはり、年齢と結婚の有無は女性に聞いてはいけない事を改めて学んだ。
それ以降、デノンハウザーは訓練室まで無駄話をすることはなかった。
「さぁついたぞ。皆が待っておる」
デノンハウザーに促され、俺は渋々その扉を開けて中に入る。
中に入るとザワついていた部屋が静かになり、皆俺に視線を移す。
俺は集まった人をざっと見て、見知った顔が何人かいたが、1番気になった人に声をかけた。
「何でスイエルがいるんだ?」
何食わぬ顔でその場にいるスイエル。この人レベ200越えで指導してもらう立場とかじゃないだろう。
「また名前を...。それはもちろんギマンに手取り足取り教えてもらうためじゃ!」
元気よく言うスイエルに俺は頭が痛くなる。
その他にも、ルイジアナと第1近衛騎士団団長のユーリッドと副団長のパーシヴァルもいた。
「ルイジアナ。礼を言うのが遅くなったが、また助けてもらったな。ありがとう」
冒険者ギルドを出る時、眠っていたので言えなかった。
「私も英雄様を救えて光栄だよ!カシミアとちゃんとご飯食べに行ったんだって?羨ましいなぁ〜もう!」
ルイジアナは茶化すような口調で言ってくる。
「うむ。見知った顔もおるらしいのう。それでは皆、まずは簡単に自己紹介と得意な武器とスキルを言ってもらおうか」
デノンハウザーが仕切りだし、順番には話を振ろうとした時、黒髪で中性的な顔立ちの人物が手をあげる。
「ん?どうしたんじゃスバルよ」
デノンハウザーにスバルと呼ばれた者が話し出す。
「デノンハウザー王よ。経緯を聞いたが僕はまだ納得していない。勇者の僕より先に魔族を討伐して、さらに魔王までも。だから、英雄ギマンとやら、ここで僕と勝負しろ!」
勇者スバルはいきなり俺を指さして、決闘を申し込んだ。
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