61話 訪問とユーリッド
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翌朝、リビングが騒がしくなり目を覚ます。
「ギマンさん!いつの間に帰って来てたんですか!ホント心配したんですよ!1週間も目を覚まさないから、いつ帰ってきても良いように夜はギマンさんの部屋で寝てたんですよー!それなのに来てくれないなんて酷いです!」
いきなりリーシャちゃんから怒られた。
心配してくれるのはありがたいが、俺の部屋で寝るのはどういう事なんだと言いそうになったが、ここは大人しくしていようと勘が働いた。
「わ、私はそんなつもりじゃなかったんだが、皆が寝るっていうから仕方なく...。だが、少しは期待したりも...」
カオリは頬を染めて恥ずかしがりながら、否定しようとする。
「ギマン様。私で良ければいつでもお相手致しますので」
もちろん鍛錬とかのお相手って意味だよな?
アザミは真剣な表情で見つめてくるので、冗談なのか本気なのかわからん。
「おぉー!ギマン目が覚めたのか。あれ?なんで俺、地べたで寝てるんだ?」
俺が3人に詰め寄られている時、カイルが空気を読まずに絶妙なタイミングで目を覚まし、俺に話しかける。
「カイル(お兄ちゃん)(おじさん)は黙ってて!」
女性陣からの怒声にカイルはしょぼくれる。
使えない髭野郎だ。
「皆悪かったよ。帰りついたのはいいが、眠くて自分の部屋まで行けずにリビングで寝てしまったんだ」
大丈夫だ。こんな時の為に俺はちゃんと言い訳を考えていた。
「えっ?でも俺を退かす力があるなら...」
カイルが余計な事を言いそうになったので、チョップで眠らせる。
「どうやら、カイルはまだ寝ぼけてるようだな」
リーシャちゃんとアザミは、さっきの言い分で納得してくれたが、カオリが疑いの目を向けてきたので、目を合わさないでおく。
「それにしても、皆よく頑張ってくれた。占い師がどのくらいの強さだったのか知らないが、かなりの強者だったんだんじゃないか?」
それぐらい、最後占い師を倒した時の魔法は凄い威力だった。
「そうだな。凄まじい魔法の使い手だった。皆も健闘してくれたが、今回は特にリーシャが頑張ってくれた」
リーダーを任せたカオリがそう答えて、リーシャちゃんは「えへへ」と照れていた。
「ギマンの方こそ魔王が相手でかなり苦戦したんだろ? 私達が駆けつけた時の死にかけのギマンを見たらわかる。ルイジアナとリーシャが協力して治療してくれたお陰で何とかなったがな」
やっぱり、俺を治療してくれたのはルイジアナとリーシャちゃんだったか。両腕無くなってて、失血死しそうだったからな。
あんな戦闘はもうしたくないが、二重複体はかなりの強敵だった。
俺はリーシャちゃんに感謝し、みんなを褒める。
「どういたしましてです! それと、ギマンさんが寝てた1週間ですけど、洗脳されていた人達は元に戻ったんですけど、洗脳中も記憶があったらしくて、かなり精神的に落ち込んでいました。でも私達に、お礼を言いに来る人はたくさんいました」
リーシャちゃんの言葉に、そういえば、二重複体がそんな事を言ってたなと思い出す。
「王達は今どうしてる?」
特に二重複体と入れ替わっていたガルバン王の所在が気になる。
「ガルバン王は自室のロッカーに閉じ込められていた。水と食事は与えられていたから生きている。どうやら、二重複体は変装する相手が死んだら、入れ替われないらしい。ガルバン王がそう聞いたと言っていた」
カオリが話しながら、ソファーに座る。
二重複体のスキルにそんな制約があったとは知らなかったが、生きているなら良かった。
「他の王達なら...」
カオリが続きを話そうとした時、家のドアがノックされた。
「第1近衛騎士団団長 ユーリッド・ホルンです。シノノメギマン様がお目覚めになられたとお聞きしたので、王達からの伝言を伝えに参りました」
真面目な女性の声がした。
第1近衛騎士団って、あの黄金バカが団長じゃなかったのか?
まぁそれは良いとして、特に断る理由もなかったので、俺は扉を開ける。
そこには、薄緑色の髪を短くしている女性が姿勢よく立っていた。そして、その後ろにはパーシヴァルがおろおろとしていた。
「シノノメギマン様ですね。伝言の前に謝らせてください。先日はうちの騎士団がご迷惑をかけて申し訳ありません。前騎士団長が起こした事件とはいえ、人類の英雄に向かって無礼な振る舞い、許される筈もありません。問題を起こした団員は処分致しました。これだけで許してもらえるとは思っておりませんが、これからはいつでも頼っていただきたい。本当に申し訳ありませんでした」
そもそも、あの件はほとんど被害が出なかったし、許すも何もないけど、ここまで謝られたのだから水に流そう。
だけど、俺はさっきの言葉の中に1つだけ引っかかる単語が耳に入った。
「その謝罪受け取りますよ。ほとんど気にしてなかったのでそんなに重く捉えないでくださいね。それと人類の英雄ってもしかして俺の事?」
「やっぱり英雄様は器も大きいのですね。見習わせてもらいます。もしかしなくても、シノノメギマン様。あなたの事ですよ。人類の英雄は」
何でいつも嫌な予感っていうのは当たるんだろうな。
そう思い、俺はため息を吐いた。
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