60話 2度目の天井と寝言
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『経験値倍化により1億経験値になります。Lvが800になりました。パーティーへと振り分けます。人類史上初魔王撃破により、称号【人類の希望】。スキル【鑑定】が【神の瞳】へと進化します。擬似神格獲得により、個体名ナナシのスキルをランダムで1つ得られます。スキル《コピー》を獲得しました。』
なんだか凄い事が聞こえてくるが、今はそれどころではない。
二重複体を倒した事で力が抜けて、《錯覚世界》が解除され、失血死寸前だった。
奴に奪われていた五感は元に戻ったが、今にでもすぐ倒れそうだ。
「ギマン!やりおったな!あの魔王を倒したんじゃぞ!ホントに凄いぞ!」
スイエルは羽をバサバサと揺らしながら喜んでいる。
その姿を見て、安心しながら俺は意識を失う。
――今度はちゃんと守れた。
ん。全身が痛い。何日間寝てたんだ俺は?
頭が覚醒していない中、俺は目を開ける。そこは見た事のある天井だった。
どうやらここは、タリスマン戦の後に運ばれた時と同じ冒険者ギルドの治療室だな。
「あ、あぁ〜。よし、言葉はちゃんと喋れるな」
長い事寝ていたと思うので、発声練習をしておいた。
ベットの傍には叢雲が立てかけてあり、水桶とタオルが机に置いてある。
身体を見ると、無くなっていた両腕がある。リーシャかルイジアナに感謝しないとな。
俺は叢雲をアイテムボックスにしまって起き上がり、治療室のカーテンを開けて外の様子を確認する。外はすっかり日が落ち、真っ暗だ。酔っ払いの声もしない事から、今は深夜なのだと予想する。
治療室の扉を開けて外に出ると、スイエルとばったり会ってしまう。
「ギ、ギマン!起きたのか!? 良かった。1週間も目を覚まさないから皆心配しておったんじゃぞ」
スイエルはそう言いながら俺を抱きしめた。
良い匂いとお腹に当たる柔らかい感触を意識せずにはいられない。
「1週間も寝てたんですか俺。スイエルさんにも迷惑かけてしまったようですいません」
あの時、スイエルが来てれなかった今頃俺は死んでいた。
命の恩人がまた増えたな。
「敬語はやめて欲しいのじゃ。スイエルと呼んでくれ」
抱きついたまま美女に上目遣いでそんな事を言われて、断れる男はいるのだろうか。
「わかった。スイエルありがとな」
これ以上は理性がもたない為、頭を撫でて、肩を押して離れて貰おうとしたら、頭を撫でた時点でスイエルの頭からボフッと蒸気が出て、顔を真っ赤にして倒れてしまった。
――――何故だ!!
その後、スイエルをお姫様抱っこして自分が寝ていたベットへと寝かせるギマンであった。
スイエルは寝言で「良い匂いなのじゃ。クンクン」と言っていたが、夢で美味しいものでも食べてるのかと疑問になりながらも治療室をあとにした。
治療室があった2階から降りて、静まり帰ったギルドホールに出ると酒場のカウンターで、カシミアさんとルイジアナが仲良く寝ていた。
俺の事で多分2人もここにいたのだろう。感謝したいけど、気持ち良さそうに寝ていたので、風邪をひかないように毛布をかけてあげる。
カシミアさんは「食事の後にどこに行くつもりなんですか。シノノメさん...フフ」と、ルイジアナは「はぁ、はぁ、ダメなのに親友の想い人なのに」と寝言を言っていた。
今日は人の寝言をよく聞く日だなと思いつつ、冒険者ギルドをあとにする。
家に帰り着くと、カイルのバカうるさいイビキがリビングに木霊していたが、今日くらいは見逃してやろう。
俺は自分の部屋につき、扉を開けると露出度の高いパジャマ姿で俺のベッドで寝ているカオリ、リーシャちゃん、アザミがいた。
「ギマン。こらそこはダメだっ」「ギマンさん。やっと私を正妻にしてくれるんですね」「ギマン様。こんな私に施しをくれるなんて」
良からぬ夢を見ているとわかる寝言を聞き、俺は静かに扉を閉めた。
リビングのソファで寝ているカイルを、ソファから退けて、横になり目を瞑る。
うん。今見た事は忘れよう。
現実逃避をするギマンであった。
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