58話 固有結界とサーカス
お読みいただきありがとうございます!!
二重複体が手を叩くと、ナイフの群れが一瞬で消えた。
「魔王と魔神の違いって何かわかる? それはね神格があるかないかの違いなんだよ? そして、この体になった僕には微弱だが擬似神格が宿っている。だからこの技も撃つことが出来るんだよ。《固有結界 奇怪で愉快な劇場》」
俺と二重複体を包み込むように空間が形成されていく。
すると、目の前にはサーカスの劇場が広がっている。
俺はそんな劇場の真ん中に立たされていた。動こうとしても身体が反応しない。
そんな中、二重複体は誰もいないな観客席に向けて話し出す。
「レディース&ジェントルメン! 今宵の舞台では、この愚か者の人間を虐殺するステージをご覧に見せましょう。まずはこの右腕がなんと可愛いわんちゃんに変わります!ほら!」
動けない俺の右腕を二重複体が叩くと、根元から切り離され、1匹の犬に変わっていく。
血が溢れ出し、激しい痛みに襲われる。
そんな俺のことはお構い無しに二重複体は続ける。
「いかがでしょうか?面白いでしょう!それじゃ次は左腕を....」
何を言っているのかは聞こえないが、このままだと確実に死ぬ。
アイツらがせっかく占い師を倒したのに、こんな奴に負けてたまるか。
だが、この空間に閉じ込めてから体がピクリとも動かない。
二重複体は俺の左腕を叩く。またもや根元から切り離され、今度は獅子へと変わる。
「それでは終幕にはなりますが、頭をこれから私が乗る赤い玉へと変えますね! じゃあね人間。絶望する姿は見れなかったけど少しは楽しめたよ。ガストロが死ななければもっと楽しかったけど」
そして、二重複体が俺の頭を触ろうとしたその時
ドォン!!!!
空間の外から轟音が鳴り響く。
「ちっ、なんだよこんないい時に」
興が削がれたのか、二重複体は空間を1度解除して、外の様子を見た。
そこにはスイエルがいて、次の重力魔法を撃とうとしていた。
俺は両腕がなくなり、風の翼を維持出来る魔力もなく、地面へと墜落していく。
「ギマン!大丈夫か!?こんなにボロボロになりおって...」
スイエルは、急降下する俺を重力魔法で受け止め、優しく地面へと下ろし、駆け寄ってくる。
スイエルが何か言っているのはわかるが、今の俺には聞こえない。
「せっかくいい所だったのに、何邪魔してくれてんの? あれ? 君何処かで見た事あると思ったら、ルシファーの所から逃げ出した子だ」
二重複体はスイエルを見た事があるらしく、話しかけた。
「そう言う貴様は魔王《幽幻天》の二重複体じゃな? まさか魔王が、この国に潜んでおるとはな。こんな事して魔神に消されはせんのか?」
「ワイズウェイン様が、この地をすぐに支配出来るように手筈を整えているだけだよ僕は。ガストロがやられたのは計算外だったけど、そこにいる男と仲間を殺すぐらいなら許してくれるさ。ついでに邪魔してくれた君もだけどね」
二重複体は、ギマン達を殺す事はもう決めているのか、スイエルが脅しても全く気にしていなかった。
俺は、スイエルの手の中から脱出して立ち上がる。
「ギマン、その身体ではもう無理じゃ!よく頑張ってくれた!あとはわらわが何とかする!」
スイエルが目尻に涙を溜めながら、何か言ってくる。
確かにスイエルにフォローは頼んだが、洗脳されている他の王を監視して欲しいって言ったのに、まさか戦闘に参加してくるとはな。
巻き込む訳にはいかないと、俺はスイエルの方を振り返らずに二重複体の方へと歩く。
「お前の相手は俺だろ?まだ終わってねぇぞ」
「フフッ。あれだけボロボロにされたのに、まだ懲りないの? 心配しなくても、そこの天使族も一緒に殺してあげるからさ。《固有結界 奇怪で愉快な劇場》!!」
俺の努力も虚しく、スイエルと一緒に、またあの空間に囚われてしまう。
✩皆様にお願い✩
ページ下部にある★★★★★マークの所を1〜5まで評価して欲しいですଘ(੭ˊ꒳ˋ)੭✧
執筆の励みになります!!
【ブックマーク】【感想】もお待ちしております。




