54話 風を操る者と嵐魔法
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死の灰と閉じ込めていた土魔法が消え失せる。
私とカイル、アザミ、ガストロは魔法を消したであろうリーシャを見た。
リーシャはゆっくりと杖をガストロへと向けた。
「魔力分解何となくですがわかりました! もうこれ以上好きにはさせません!」
天才的な魔法のセンスで魔力分解を習得したリーシャは、ガストロへと宣戦布告する。
「こ、小娘がぁ! 魔力分解をあの土壇場に成功させるだと!? しかも、さっき見たばかりのはずなのに! 儂ですら10年かかった技を...」
ガストロは悔しさのあまり、杖で地面をガンガン叩いている。
「リーシャ!すごいぞ!やつの魔法を打ち消したのか!?」
「さすが俺の妹だ!」
「中々やる。」
そんなリーシャを私達は褒めると、リーシャは杖を掲げ「イェーイ」と嬉しがる。
「魔力分解が出来たくらいで調子に乗るなよ小娘? それなら分解が追いつけないくらいに魔法を打ち続ければいい話だ。傀儡人形の時とは、威力も速さも違うぞ?」
吹っ切れたのか、ガストロはリーシャを親の仇のように睨みつけ、魔法を展開していく。
私達も気を引き締め、ガストロから放たれる魔法に備える。
「複合魔法《炎の巨人》×10 《水爆》×10 《流星迅雷》×10 」
一瞬何が起きたのか分からなかった。
至る所で物凄い威力の爆発が起きたかと思えば、雷がいつの間にか目の前に迫ってきて、その後ろには10体もの炎の巨人がいる。
私達はその一瞬で壊滅した。どこかしらの四肢はなくなり、全身は火傷、爆音の雷によって鼓膜は破れていた。
そんな中、私はリーシャへと必死に目を向ける。リーシャは私の目線に気づくと、残った左手で杖を握り、血を吐きながらスキルを使う。
「ホ、《天使の聖域》」
リーシャのスキルで、皆、五体満足で怪我も回復したが、先程の惨状を受け止め切れていなかった。
「やはり人間にしとくは惜しいのう。小娘よ、魔族になる気はないか? そうすればお前だけは命を助けてやってもいいぞ?」
リーシャの魔法を気に入ったのか、ガストロが勧誘してくる。
リーシャは杖を支えにして、立ち上がりながらガストロを睨む。
「ふざけないでください。貴方みたいな人を洗脳して、遊んでいる最低な魔族になんか屈しません。魔族になるなら死んだ方がマシです! ギマンさんの為にも貴方何かに負けられないんです!」
強い意志でハッキリと断るリーシャ。
そんなリーシャにガストロはため息をついた。
「わかった。ならば回復魔法なんか使えぬように灰にしてやろう」
ガストロはそう言って、またもや先程のように魔法を展開するつもりだ。
どうする。あんなの次また撃たれたら終わりだ。
私は自身の不甲斐なさを恨んだ。ギマンすまない。やはり私ではダメだったみたいだ。
諦めかけ、大切な人に謝っていたその時。
「カオリさん!何諦めてるんですか!?私はちゃんとギマンさんに好きって伝えるまでは死ねません!だから、今撃てる全力の魔法を撃ってください! 複合魔法には、こちらも複合魔法で対抗するしかないんです! 私もカオリさんに合わせて魔法を撃って複合させてみせます!」
リーシャから本日2度目のお叱りを受けた。
フッ。そうだったな。こんな所で死ぬ訳には行かないな。
「わかった!! 皆でこの死地乗り越えて見せるぞ!!」
「俺とアザミちゃんはお前ら2人をフォローする!」
「負けない。」
皆覚悟は決まったのか、ガストロへと武器を構える。
「他人の魔法に自身の魔法を複合させるだと?ありえない。そんなこと出来るはずがない。諦めが悪い人類め。灰になれ《死灰天牢×20」
襲い来る死の灰。カイルとアザミは土魔法で壁を作り、時間を稼ぐがすぐに灰に変わっていく。
私とリーシャはお互いに体の中で魔力を最大限まで練る。
目を瞑り、集中していると、聞いた事のある声がする。
(あなたはこの風に何を願うの?)
(皆を守れるだけの力を、魔族を倒せるだけの力を)
(あなたが望むなら私は力を貸すわ)
(ありがとう)
『《風を操る者》の支援により、《嵐魔法》を獲得しました』
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