49話 ガルバン王と二重複体
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俺はまたパーシヴァルにお願いして、秘密の通路を使い、王城に侵入し、目当ての王の部屋を教えてもらった。
「何か言われても俺の名前は出さないでくださいよ? 責任問題になったら今度こそ胃が爆発しますから」
こんな事を言いながらも、ちゃんとここまで案内してくれるパーシヴァルに感謝して別れた。
俺は目当ての王の部屋をノックした。
中の人物から要件を聞かれ、「書類をお持ちしました」と答える。すると、ため息と同時に入室を許可された。
俺が中に入ると、その部屋の主は、驚いた表情を見せたが、すぐに平静を取り戻す。
「1週間ぶりぐらいでしょうか? ガルバン王。それともこう呼んだ方がいいか? 序列13位の魔王。《幽玄天》と」
ガルバン王はその言葉に、暫しキョトンとした後、笑いだした。
「ガハハハ! いきなりワシの部屋に来て何を言うかと思えば、ワシが魔王だと? 面白い冗談だな! 笑わせてくれた礼に、今大人しく帰れば、勝手に部屋に入ってきた事は水に流すぞ」
まぁそうなるわな。どこからどう見ても小人族にしか見えない王を魔王だと言ってる訳だからな。
「俺も最初はティターニアが犯人だと思った。平静を望むが故に、洗脳術者を使って他の王を誑し込む。少し調べれば簡単だった。でもな、誰かにレールを引いてもらったゴールにしか感じなかったんだよ。俺は」
「お主はさっきから何を言っとる?」
訳が分からないと演技をするガルバン王。
「じゃあ何故、俺があんたを疑うのか、それはあんただけが他の王が何かしらの変化があったにも関わらず、全く変わっていなかったからだ。当事者であるあんたは、他の王達の洗脳内容にこだわったが故に、自分の洗脳を甘くしてしまった。それだけではあんたが魔王だと言う確証はないが、疑うだけの理由にはなった。そして、もしもの時、ティターニアを犯人にする為、洗脳ではなく薬によって支配した」
俺は事前に薬屋に行って、人の意思に介入できる薬はあるか薬師に聞いてみた。
すると、薬師はクロロキシンと呼ばれる違法な薬なら出来るかもしれないと言ってきた。
クロロキシンはいわゆる興奮剤の1種だが、多量摂取すると1つの事だけしか考えれなくなる薬だ。
俺はその事を聞いた後すぐに、ティターニアを気絶させて誘拐し、医師に診てもらうとクロロキシンを大量摂取していると言われた。その後、ルイジアナにお願いして、修復で治してもらい、今は寝ている。
「最悪、この事件に魔族は関係していないと言えるからだろ? 人類側で勝手に起きた出来事だと」
「小僧の妄想を聞くほどワシは暇じゃないんだがな。それで?肝心のワシが魔王だという証拠は掴めていないんじゃろ?」
食いついてきたな。
「いいや。ここに来てあんたが魔王だと確信したよ。だってあんた影がないんだよ」
俺はその瞬間風魔法を使い、部屋のカーテンをはためかせる。陽の光が入り俺とガルバン王を照らす。
すると、俺の足元にはしっかりと影があるのにも関わらず、ガルバン王の足元には何も映らなかった。
王の間でティターニアが、風魔法を使って攻撃しようとした時も、今みたいに陽の光が入っていた。
その時、ガルバン王は玉座の裏に隠れていて、その時は巻き込まれたくないのだろうと思っていたが、スイエルからの情報で《二重複体》の文字を見た俺はあの時の行動の意味が違って見えた。
ガルバン王は陽の光で影が無いことをバレるのを避ける為に玉座の裏に隠れたのだと。
元の世界で《二重複体》は有名だったし、影がないという特徴も分かっていたから正解に導けた。
「あーあ。バレちゃったか。せっかく万が一、鑑定とかされてもバレないように、僕にも洗脳かけておいたのに無駄になっちゃったじゃん」
ガルバン王は急に口調が変わり、頭の後ろで手を組んだ。
纏う雰囲気も重々しくなり、タリスマンとは比べ物にならない。
「さすがはアリステラの所の幹部を倒しただけはあるね! うーん。こっちからもちょっとイタズラしたかったのに書類のせいで何も出来なかった事だけは後悔かなー。えっと、それでこれからどうするの?僕と戦うの?」
嘘でしょ?みたいな顔をしている。その余裕な表情無くしてやるよ。
「散々人類を引っ掻きまわしておいてタダで済むと思ってんのか?」
「えー。だって人類で遊ぶの楽しいんだもん。そうだ!良い事教えてあげようか?洗脳を解いた後に、自分がしてきた事ってのはちゃんと覚えてるんだよ? だから、洗脳を解いた後の絶望の表情って凄く笑えるんだよー! ね!?良いでしょ?」
ガルバン王の姿をした二重複体は、子供みたいな表情をして嬉しそうに話す。
俺はその糞みたいな演説を聞き終わる前に、クズ野郎へと走り出していた。
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