44話 昇格と思考のピース
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俺は、本日2度目の冒険者ギルドへとやってきた。
天使族でもあり、元魔族でもあるスイエルに話を聞くためだ。
天使族のスイエルなら、天使族の王セラフィムの事を知っているかもしれないし、聞き忘れていた魔族の情報もついでに知るためだ。
冒険者ギルドに入り、カシミアさんの受付へと向かう。
「あれ?シノノメさんどうなされました?」
「度々すいません。ギルドマスターって今いますか? いたら少し話がしたいと伝えてくれませんか?」
カシミアさんに要件を伝えると、「少し待ってて下さい」と言って2階へ行った。
少し経つとカシミアさんが降りてきた。
「通していいとの事です。着いてきてください」
俺はカシミアさんの後をついて行き、ギルドマスター室へと入る。
スイエルは書斎で書類仕事をしていた。
「では私はこれで」
「ありがとうございます。カシミアさん」
「いえいえ。食事楽しみにしてますね」
ここでもまた、食事へのプレッシャーを俺にかけてきた。
(これは尚更失敗出来ないな)
カシミアさんが部屋から出ていき、スイエルと2人きりになる。
「それで、わらわに何の用じゃ?」
スイエルは書類に判を押して、こちらに視線を向ける。
「まずは騎士団への書状ありがとうございます。こちらに来たのはスイエルさんに聞きたいことがあったからです」
騎士団への書状を迅速に手配してくれた事を感謝する。
「それでも、あそこのバカ団長は、止まらずにギマン達の所に向かって返り討ちにあったそうじゃのう。愉快愉快。それで聞きたいことは?」
スイエルから座るように促されたので、椅子に座る。
「天使族の王セラフィムに関してと魔族の情報についてお聞きしたくて」
「ほう。セラフィムのう。あやつの何を知りたいんじゃ? 魔族に関してはギマンが、また来ると思ってわらわの知っている情報をリスト化したものを用意しておいたぞ」
そう言って、紙をこちらに弾いて投げてくる。
ホントにこの人仕事早いな。そこには空白は多いが、魔王の名前と幹部の総称が記載されてあった。
「ありがとうございます。この礼は必ず。セラフィム王の事なんですけど、魔族に侵攻されて、ここまで追いやられて人が変わったとか何か変化はありましたか?」
俺はさっきザイード達にした質問をスイエルにする。
スイエルは煙管を持ち、煙を吐きながら答えた。
「ふむ。あやつは魔族に関しては、力が及ばずとも魔を滅すると息巻いておったぞ。それが突然、魔族と争うのは反対するようになって、おかしいとは思っておった」
やはり、天使族の王セラフィムは洗脳によって無理矢理意思を変えられていると見て間違いないだろう。
「実はさっき王城に行ってきました。そこで連合国の5人の王のうち、4人が精神攻撃を受けていました。俺は洗脳じゃないかと思ってます」
「なんじゃと?」
スイエルはありえないといった表情を浮かべていた。
「確証を得ると同時に、誰が洗脳をかけているのか、目的はなんなんのかを探るために、いま情報収集をしています。 まだ他に気になった事があれば教えてください」
「そうか洗脳か。だとしたらあの態度の変わりようも頷けるのう。 そう言えばセラフィムのやつ、占いにハマっておったのう。わざわざ王城に呼び出すほどに」
ここでもまた占い師の話が出てくる。
ガルバンの時もそうだった。ここまで来ると、余計その占い師が怪しくなる。
「その占い師の情報について詳しく知りませんか?」
「そうじゃのう。確か占い屋もしておるぞ。場所も書いておくから聞いてみるといい」
地図と分かりやすく建物の絵まで書いてくれるスイエル。
「ありがとうございます」
「その事がホントだとしたら、由々しき事態じゃのう。わらわの方も探りを入れておく。それとお主らの冒険者ランクSにしといたからの」
「え?」
急にSランク昇格を告げられたが、もう決めた事だからとスイエルの意思は固かった。
まぁ損するものじゃないしいいか。
度々感謝してギルドマスター室を出て、人類代表王デノンハウザーの情報を集める為、酒場に向かおうとしている道中、これまでの情報を整理する。
ガルバンとセラフィムは、同じ占い師と度々会っていた。
俺の予想だと、こいつが洗脳をかけた奴。
では、なんの為にかけたのか。順当にいくと平穏を望みすぎているティターニアが、この一時期の平穏を守る為、他の王達に洗脳をかけた。これが1番しっくりくる。
だが、この推察はしっくり行き過ぎていると思った。そういう風に誘導されているかのような。何か見逃している感覚。
考え過ぎと言われればそうなのだが、疑り深い俺はこの勘を無視する事は出来なかった。
どうしたもんかとさっきスイエルから貰った紙を見る。そこに書かれていた文字を見た俺は、欠けていたピースがハマるかのような感覚に陥った。
序列13位魔王 『幽幻天』 種族名:二重複体 名前:不明 幹部配下:不明
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