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4話 錯覚と転生




狸爺の話を要約するとこうだった。



・【リューグナー】を創造するのに神格を1万使っている

・魔神共はその神格を見つけ出し己の力にしていて、自分と同等とは行かないまでもかなりの力を付けている

・だから魔神を倒しても神格が失われて狸爺の神格が無くなり弱体化するだけ

・俺を送る理由は魔神共から神格を取り戻して欲しいから



「はぁ。自分が弱体化して降神するかもしれないから黙ってたのはわかるけどそれにしてもあんまりじゃねぇか?」


「すまんのぅ。儂だって必死だったんじゃ、あの世界がある限り神格は失われんが人族が滅んだ後は魔神共が何をするかわからぬ。そんな不安な中お主が現れてチャンスだと思ってのぅ。」


「創造のも天界から勇者を送り込んではいたんだが、神格を身に付けた魔神共には全く歯が立たずで悩んでたんだよ」


狸爺はあ〇たのジョーよろしく椅子にもたれかかって力が抜けながら話しており、筋肉隆々男はいつの間にか紫の炎の上に腰掛けていた。


「それで結局、俺はその神格とやらをどーやって取り戻せばいいんだ?」


その言葉を聞き狸爺は急に若返ったかのようにガバッと立ち上がり


「よいのか!?お主を騙そうとしたのに」


「別に。どうせ死んだ身だ。ただ単に騙そうとしてよく分からずに力を与えます!さぁどうぞ異世界へ!みたいなノリだったから気分を害しただけだ」




ったく、異世界転移って聞いて頭お花畑になってるな。行きますとか安易に言ったらダメだなとは思ったが、興味が勝った。



「儂の神格を取り戻す方法は...

魔人がお主に忠誠を誓う事じゃ。」


「は?」


「ん?聞こえなかったのか?だから魔人がお主に忠誠を...」


「いやいや!聞こえた上で俺は、は?って言ったんだよ!だって神同等の力を持つやつに忠誠誓わせるって俺は神すら超越するもんになれって事なのか!?」



口で騙すとか以前の問題だぞ。この異世界転移がアホらしくなってきた時



「だからお主には儂から力を与えるんじゃよ。取り敢えずスキルだけでも見てみらんか?」


「お前は気に入ったから俺様からも何か与えるぜ!出血大サービスだぜ!ハッハッハー!」



急に目の前に文字の羅列が現れて《身体能力10倍》《全魔法適正》《5秒間無敵化》など色んなスキルと説明が書かれていた。



「ちなみに受け取れるスキルは儂と冥界のを合わせて2つまでなんじゃよ」


「神同然の相手に本来はスキル1つって鬼畜すぎないか?」


「すまんのぅ。儂も色々と試したんじゃがそれ以上与えると魔神共に気づかれて育つ前に殺されてしまうんじゃ」



おぉぅ。急に物騒だな。育つ前に殺すとか魔神って頭良いなと感心しつつも膨大なスキルを頭の中で整理して最適解を選んでいく。



「なぁ、ちなみに魔神共ってどんなスキル持ってるんだ?」

「おぉ、そうじゃのぅ《神格化》一時的に神になり全ステータスを100倍にする。《真の死》触れた相手を即死させる。他には《防御魔法不可》とかあるのう。」



俺は何も聞いてない。俺は何も聞いてない。


現実逃避をしながらスキルを見ていると1つ引っかかったものを発見した。



《錯覚》

対象を錯覚させる。




え?説明これだけ?と思い他のスキルを見ると


《身体能力10倍》

体力、攻撃力、防御力、速さを1分間だけ10倍にする。

CT3時間


などと能力の詳細や使える時間などが書いてあるのに対してこのスキルだけは何も書いていなかった。



「なぁこの《錯覚》ってスキル、詳しい説明とか書いてないけど、どういう事なんだ?」


「ん?なんじゃそのスキル?今まで膨大なスキルを見てきたけどそんなスキル儂は知らんぞ? お主もじゃろ冥界の」


「そうだな!俺様もこんな弱そうなスキル知らんなぁ」



この2人の神さえ見たことの無いスキル、そしてこの説明の少なさ、そこまで考えた俺はこう思った。もしかしたらこのスキルは化けるかもしれねぇな。



どうせ最終目標の相手は神同然の奴らなんだ普通のスキルなんて得ても歯が立たねぇし賭けてみてもいい。



「お主今鏡で自分を見てみぃ。物凄く悪い顔しとるぞ」



おっと悪い癖が出てしまった。ポーカーフェイスポーカーフェイスっと。



「どうだ!受け取るスキルは決まったのか!?俺様的にはこの《剛腕》とかオススメだぞ!力でねじ伏せる!いいだろう!?」



右腕の力こぶを主張しながらニッと笑いながら言ってくる脳筋神を無視しつつあと1つのスキルを選んでいく。まぁあと1つは無難にこのスキルでいいかなと絞り込む。



「取り敢えずは決まった。《錯覚》と《取得経験値倍化》にしようと思う。」


「ほう。それで良いのか?」


「お、俺様の《剛腕》...。」



《鑑定》と迷ったが向こうの世界の状況がわからない今育成が遅れたら致命傷になりうるかもしれねぇと思い《取得経験値倍化》を選んだ。




「さて取り敢えず選んだはいいが俺はどういう状態で転移させられるんだ?」


「行く気満々じゃのぅ!儂は嬉しいぞぉ!」


「どうせ駄々こねてもその【リューグナー】に行くことはほぼ決定なんだろ?だったらもう覚悟決めて行ってやるよ。...騙されそうになったけど(ボソッ」


「ホッホッ。手厳しいのぅ。お詫びとして儂から出来る限りのサポートはするぞ」



最初に相手の要求を呑み最後に相手の弱みを言うことでこちらの要求または相手から好条件の提案を出させる。まぁ騙しの基礎中の基礎だな。



「《原語通訳》《アイテムボックス》と儂の加護、そしてお主をちょいと若返らせてイケメンにしようぞ!」

「俺様からは《環境適応》《並列思考》と加護を与えるぞ!」



狸爺の最後の言葉にちょっとだけ、ほんとちょっとだけ喜びながらあの筋肉隆々男がくれるスキルが見た目に反して真面目な事にビックリしていた。



「いやぁ本当は《冥府の炎》とか《死神召喚》とか与えたかったけど創造のがダメって言うからよぉ」


「当たり前じゃろが!そんなぶっ壊れスキル与えたら転生させた後すぐに魔神共にバレて殺されてしまうじゃろ!」


「ちぇ〜」



子供みたいに口を尖らせて言っているが見た目が見た目なので全く可愛くもない。


今の物騒なスキル達は何も聞かなかった事にしよう。

忘れていたけどこいつら神だったわ。



「さてスキルも決まった事じゃし、お主を【リューグナー】へ転生させるとするかのう」


「おう!じゃあ俺様は冥界へと帰るとするか!家をちょっと留守にしてたら奥さんが発狂しだすからな!頑張れよ小僧!」



発狂て...。あんたの奥さん嫉妬神かなにかなのかよ。


そして、爺が立ち上がり人差し指に光を携えてこちらに向けてくる。



「最初は騙そうとして悪かったのう。まぁなんじゃ2度目の人生平和な世界でほのぼのライフとはいかんし儂の事情に巻き込んでしまうが頼む」


「なんだよそれ励ましてるつもりか?まぁそうだな俺に2度目の人生を与えてくれた事だけは感謝してるぜ」




そう言うと体が眩い光に包まれ出した。




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