38話 精神攻撃と4人の王
お読み頂きありがとうございます!
後書きにて再びカオリを書きました(*´ω`*)
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それでは本編をどうぞ(*^^*)
さっきの跪こうとしていたのはこいつのスキル《交渉術》か。だったらこっちもやってやる。
「貴様らが魔族を倒した事は知っている」
「だったらなんだ?」
「魔族にこれ以上、危害を加えるな。この平穏が崩れたらどうする」
平穏だと?こんないつ魔族が侵攻してきて死ぬかもしれない状況の事を言ってんのかこのバカ王は。
「あれは正当防衛だ。もし抵抗しなければこちらが死んでいた」
俺は王に対して「正当防衛なら仕方がないか」と錯覚を発動したら、『対象は、すでに精神攻撃を受けている状態です。錯覚はかけられません』と機械音が頭に流れてきた。
こんな事は初めてなので少し動揺する。精神攻撃を受けている状態というのはどういう事なのか。1番考えられるのは洗脳だ。
デノンハウザー王が誰かに洗脳されている、と考えたらおかしな話ではない。では、誰がなんの為にそんなことをしたのか。
今の状況では情報が少なすぎるし、デノンハウザー王だけではない可能性が高い。取り敢えずこの場を凌ぎ、王城の中にいる人間の何割が精神攻撃を受けているか把握しないとな。
「ならば逃げれば良かったであろう」
「魔族相手に背を向けて逃げるなんて、殺してくださいって言ってるようなもんだろ」
王と会話している際に、王の側近と秘書に簡単な錯覚「少し暑い気がする」と発動させる。
頭の中に機械音は流れない。この2人はセーフか。
「そもそも何故魔族と遭遇したのだ。今、奴らは表立って侵攻してきていない。お主らが何かしなければ干渉してこないであろう。」
パーシヴァルにもかけるがセーフ。
「俺らが倒した魔族はタリスマンと言って、裏で人間を眷属にして、女性を攫っていた。その女性の中に、仲間の妹がいた。原因を突き止めようとしたら魔族に行き当たった」
「突き止めようとするな。そんな事をするから、魔族と行き当たるんだろう。多少の犠牲は捨ておけ」
その言葉にカオリが弓を構えようとしていた。カイルとリーシャちゃんも我慢ならないといった表情だ。
そんな中、アザミは下を向いていた。
冷静だった俺の頭が少しイラついた。じゃあ、あのアザミの涙はなんなんだよ。俺達がタリスマンを止めなかったら一生眷属のまま生き地獄だったんだぞ。
「家族が行方不明になって捨て置ける奴がどこにいるんだよ。いつからこの国はこんなに腐ったんだ?あ?」
「腐るも何も、儂は元から魔族と争うのは反対だった。今生きているのは、全て魔族達のお陰であろう。それをこちらから刺激して侵攻でもされたらどうしてくれるんだ?」
王のその言葉に、側近の2人が驚いた表情をしている。
その態度にイラついていた頭を冷やし、冷静さを取り戻す。なぜあんな表情をしたんだ。
元から魔族と争うのは反対だったと告げた後に、2人は驚いた表情をした。つまり、この王は元から反対ではなかったんじゃないのか。
「カオリ、弓を下ろせ。それで、あんた本当に最初から魔族と争う気はなかったのか?」
俺の言葉に、カオリは渋々弓を直した。
「なにを言うかと思えばそんなことか。あぁ最初からそんな気はさらさらない」
側近の2人はその言葉に、お互い目を合わせて、首を傾げている。
決まりだな。恐らく、王はどこかのタイミングで誰かに精神攻撃を受けた。その影響でこんな考えになったんだろう。
人の意志をねじ曲げる程の強い精神攻撃...洗脳の類で間違いなさそうだ。
「他の王達も同じ考えなのか?」
「あぁ。他の4人の王も私と同じ意見だ」
これは王達全員が洗脳にかかっている事も視野に入れないといけないな。そのためにも何とかして確かめたい。
「交換条件として、他の4人の王に会わせてくれ。そうすれば、今後、魔族には手を出さないと誓う」
王は少し考えた後、口を開いた。
「わかった。今から王の間へ来い。他の王に会わせてやろう」
普通ならこんな頼み聞かないと思うが、王は現在「魔族に手を出さないようにしろ」と洗脳をかけられている可能性が有るから、俺が手を出さない事が最優先事項であり、その為ならある程度の条件は聞いてくれると思った。
王は部屋から出ていき、5分くらいで戻ってきた。
「ついてこい」
案の定、俺の要求は通り、王の間へと案内される。
そこには5つの玉座があり、すでに他の4人は座っていた。
耳長族代表王 ティターニア=アルディス
獣人代表王 ハイゼル=レオンハート
小人族代表王 ガルバン=アイゼンノット
天使族代表王 セラフィム=ライラ




