37話 王城とデノンハウザー
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王城へ向かう前に、リーシャちゃんが換金屋に寄りたいと言って、騎士団長の黄金を売ると結構な額になった。
リーシャちゃんは非常に喜んでいた。
パーシヴァルはそんな中、1人ブツブツ言っていた。
「この人たち頭おかしすぎる。確かにこちらから手を出したけど、騎士団長をボコって、挙句の果てに装備を質屋で売り捌くなんて。俺はこの人達を案内して大丈夫なのか...」
「おーい、パーシヴァル戻ってこい」
カイルよりも10倍優しめにチョップする。
「グハッ!何するんですか!? まさか自分も装備寄越せとかですか?」
グハッ!なんて大袈裟なリアクションだな。
「そんな事するかよ。俺達は山賊じゃないぞ。王城はあとどれ位で着くんだ?」
「良かった〜。そうですね。騎士団専用の秘密の通路があるので、あと5分もかからないと思います。あっここですね」
パーシヴァルはそう言うと、『黄金の子牛亭』という酒場に入った。ここでも黄金か。あのおっさん黄金大好きかよ。
昼間なのか店の中には客は誰も居らず、厨房の奥で作業をしている音だけが聞こえた。
「グラズーいるかー。通らせてもうぞー」
パーシヴァルは店主であろう男にそう告げると、奥から「ご自由に」と返ってきた。
セキュリティがばがばだな。パーシヴァルはボトルが沢山並んでいる棚の前で止まり、1番奥にある緑のボトルを取った。
すると、棚が少しずつ横にズレていき、下に続く階段が出てきた。
「これが秘密の通路ですか!すごいです!ワクワクしますね!」
秘密の通路が出てきて、リーシャちゃんは何故かワクワクしている。
カイルは酒のボトルを見て、目を輝かせて1つ盗もうとしていた所をカオリに止められていた。
何してんだよバカカイル。
俺達はパーシヴァルの後を着いていき、1つの部屋に着いた。そこは倉庫部屋なのか、備品が埃を被ったまま乱雑に置かれていた。
「ここ本当に王城の中か?」
「はい。ここは第1近衛騎士団の倉庫部屋です。誰も片付けようとするものがおらずこんな状態ですいません」
「いや、俺に謝れてもな...」
パーシヴァルには謝り癖があるな。いつもあのバカ騎士団の尻拭いしてたんだろう。
「それでここからどうしますか? いきなりデノンハウザー王に会うって訳にもいかないでしょう」
「いいや、その王に会わせてくれ。その為に来たんだからな」
パーシヴァルは少し考えた後、答えを出す。
「どうなっても知りませんよ。それでは着いてきてください」
倉庫室から出て、ようやく王城らしい廊下へと出た。金と赤の線が入った絨毯がひかれており、高そうな壺やら絵画が飾ってある。
俺達が周りの様子に目を取られていると、前のパーシヴァルが1つの扉の前で止まった。
「第1近衛騎士団副団長パーシヴァルです! 王命である、シノノメギマン、カイル、リーシャ、カオリ=エンフェルト、他1名を連れて参りました!」
今までの覇気のない喋り方ではなく、しっかりと通る声でパーシヴァルはこの部屋の主に向かって報告した。
「入れ」
扉の奥から聞こえたのは、その一言だけだったがよく聞こえた。
「失礼します!」
パーシヴァルが扉を開け中に入る。俺達も続いて中に入ると、どうやら俺が思っていた王の間とかではなく、私室のような作りだった。
それでも、部屋は広く30畳くらいはある。1番奥の書斎に初老の男性が座っており、その左側に秘書であろう女、右側には恐らく《観測》のスキル持ちの男が立っていた。
気配からして天井裏に3人と左右の壁の中に2人ずつ隠れている。カオリも超聴覚で捉えたのだろう、少し警戒を強くしていた。
俺達全員が入り、アザミが扉を閉めると、初老の男が立ち上がり、ゆっくりと歩き、俺達の前で止まる。
「頭が高いぞ。そこの騎士の様には跪け。我はリーラアギィア人類連合国、人類代表王デノンハウザー=ザーディ=トラソルであるぞ」
パーシヴァルはこの部屋に入ってからすぐに王に対して跪いていた。
少しだけ跪こうとした体におかしいと思い、自身に錯覚をかけて防ぐ。何かスキルを使ったなこいつ。
頭が高いのはどっちの方だよ。俺は跪けという命令を無視して言いたい事を言った。
「魔族にビビって、何もしないだけのお飾りの王に対して、持ち合わせる礼儀は持っていない」
その言葉に、デノンハウザー王は眉を少しだけピクつかせ、眼光鋭い目で俺を睨みつける。
「たかだか、一体の魔族を倒したくらいで英雄気取りか。自惚れるなよ小僧」
「その魔族に対してビビってるのは誰だよ爺」
俺と王の言葉の応酬に、その場に緊張が走る。
『デノンハウザ=ザーディ=トラソル』男性 敵意
種族名:人間 職業:人類代表王 犯罪歴未知数
Lv:100
HP:3000
MP:2500
攻撃:1500
防御:1500
魔法:1000
速さ:1000
知能:500+500
器用:1000
スキル
《斬撃》刃物系武器装備時、斬撃を飛ばすことが出来る。
《交渉術》交渉の際、相手に言う事を聞かせやすくする
称号
【一国の王】慕っている民の数に応じて知能が向上する。
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