34話 後ろ盾とお仕置
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「すまない。話が脱線した。」
スイエルはタオルで血を拭きながら謝った。
「いえこちらこそ余計な事を聞いてしまいました」
スイエルのあの表情、あれは復讐者の目だ。俺も元いた世界で、あの目をした自分と鏡越しに目が合った事があるからわかる。かなり根深い過去があるに違いない。
「さっきの件でお主達を巻き込む気はない。それだけは本当じゃ。王命の件に関しては従っても良いことはないと思うが、王命ともなれば奴らはしつこいぞ。ここにいればわらわがおる限り好き勝手はさせぬがどうするのじゃ?」
さっきの件が少し気になるが、今は王命だ。
確かにあの態度だと奴らはまた来る。しかも、家も特定されているし気も休まらないだろう。やるべき事は1つだ。
あとムカつく事もあるからな。
「こちらから王城に乗り込みます。スイエルさんの話を聞いて、ちょっとこの国の王達に言いたい事も出来ました。最後に1つだけ質問させてください。スイエルさんは人類が滅ぶのを諦めてますか?」
「少々私怨があるのは認めよう。だが、わらわはこのまま座して滅ぶなど許容出来ぬ。最後の最後まで抗って死ぬつもりじゃ」
「俺もですよ。だからその意見、俺が代表して王達に言って目を覚まして貰います。もしもの時はギルドの後ろ盾を使わせてもらって構いませんか?」
そう言うとスイエルはキョトンとした顔をした後に笑い出した。
「アッハッハッハッハッ!! 面白いのう! 後ろ盾などいくらでも使ってよいぞ! まさか、この国の王達に直接言いに行くなど凄い事を考えるのうお主は。気に入ったぞギマン」
ツボに入ったのか腹まで抱えて笑い出すスイエル。
そんなにおかしな事言ったか俺。てか、初めて名前を呼んだな。信頼の証と捉えてもいいのか。
「ありがとうございます。お礼と言ってはなんですが、俺は魔族を魔王や魔神含めて全員倒す気でいます。だから、スイエルさんの目的も俺と合致します。その時は手伝わせくださいね」
「う、うむ。わかったのじゃ...」
その言葉にスイエルは頬を少し赤くさせ、さっきまでとは違い弱々しい声で返事をした。
あれ、喜んでくれると思ったのに、何か不味い事でも行ったかな。取り敢えずここは退散しよう。
「それでは失礼します。ありがとうございました」
スイエルから何か言われる前にそそくさと俺はギルドマスター室から出た。
1階に行くとカシミヤさんにバッタリ会う。
「シノノメさん。先程は助けていただきありがとうございます」
カシミヤさんは礼儀正しくお辞儀をした。
「いえいえ。当然の事をしただけですよってこのセリフ、カシミヤさんも言ってましたね」
「フフッ。そうですね。どうやらシノノメさんはお忙しいので、あの続きは今度聞かせてくださいね?」
そう言えばカシミヤに事情を説明しようか悩んで所に騎士達が来たっけ。
「すいません。用事が済んだら、一緒に食事でもしながらあの時の事情を説明します」
「ホントですか!? 私楽しみにしてます!絶対ですよ?」
近い。近い。カシミヤの美人な顔が急接近してきて焦る。
そんなに事情が知りたいのか。まぁそれもそうだな。
「は、はい。必ず事情を説明します」
「そ、それも気になりますけど、食事のことの方が...」
カシミヤさん美食家なのか? これは皆に聞いて美味しい店を探しておかないとな。
「では失礼します」
また逃げるようして冒険者ギルドから出た。
「あー!ギマンさん遅いですよー! 何か王命だー!とかいって人の家に土足で入ってきた人達を追っ払って大変でしたよ!」
家に帰って早々リーシャちゃんが愚痴ってきた。
いや、追っ払ってないでしょ。ボコボコにしたんでしょ?
聞いたんだから。
「飲みすぎて頭が痛い時に大声出されたから、私もつい強めに追っ払ってしまったぞ」
カオリまでボコボコにしたことを隠そうとする。
てか、強めに追っ払っうってなんだよ。
「その事について話したい事があるから集まってくれ。カイルとアザミは?」
「アザミなら庭で素振りをしているぞ」
「お兄ちゃんならギマンさんの部屋で爆睡中です」
カオリとリーシャちゃんが2人の居場所を教えてくれる。
あの髭野郎。こんな真っ昼間まで眠りこけてるなんてお仕置だな。少しはアザミを見習え。
その後、家中にカイルの悲鳴が響いた。
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