29話 結末と真祖
お読みいただきありがとうございます。
今回はリーシャちゃんのちびキャラを書いたので後書きに載せておきます(^▽^)o
可愛い!他のキャラも見たい!など思った方はポイント評価、ブックマーク、感想お願いします!
「グホッ! あぁそうだ...な。その可能性も考慮してたぜ。グッ! だか、やっと近づいてくれたな。 お陰でこいつを打ち込める!」
俺は内ポケットから珠廻花の液体を取り出し、奴の口の中に入れて流し込んだ。
「ウッ!貴様!何を飲ませた!? ん?この味は珠廻花ではないか。全ての事象を元通りにするものだろ? こんなもの飲ませてどうする。元に戻してもどうせ同じ結末を迎える。お前たち人間が魔族に勝てるわけないのだ」
「それはどうかな...」
腹部を貫かれ絶体絶命の境地に立たされているはずのギマンが何故か余裕そうに微笑む。
「全ての事象を元通り、確かにそうさ、じゃあお前はどこまで元通りになるのか知ってるのか?」
ギマンが問いかけるや否や、タリスマンの身体は崩壊を始める。
「なに?!どうなっているんだ!!!」
「この珠廻花の効力は全ての事象を[10分前]の状態に戻すことだ。お前10分前何が起こったか覚えているか?」
身体の崩壊が始まっているタリスマンにそんなことを考える余裕はなかった。
「だろうな。普通、戦闘中に10分前の出来事なんかいちいち覚えてないもんな。じゃあ、俺が教えてやるよ。10分前のお前は丁度カオリに2発目の聖なる弾丸を受けて消滅した時だ。」
俺は奴が時戻しを発動してカオリが眷属化した時に、珠廻花の事象を戻す効果が使えるかもしれないと思い、奴がカオリに2発目の聖なる弾丸を撃たれた時間とカオリが眷属化してからのタイムリミットの10分間を両方同時に数えていた。
結果的にカオリが自力で眷属化を解除したお陰で珠廻花をカオリに使わなくていいようになり、タリスマンに使える余裕が出来た。
「う、嘘だぁぁ!! この私が、俺が! 人間ごときに殺されるなど! 体が崩れる! 存在がなくなる!! あぁ...アリステラ様お許しを。」
タリスマンは最後に知らない名前を言って完全に消滅した。
カイル達が戦っていた血液魔法も形を失い、地面に大量の血を染み込ませた。
時間にして30分にも満たない死闘は終わりを告げ、無事タリスマンを撃破。4人全員無事+アザミを取り返すという最高の結果で幕を閉じた。
『経験値倍化により20000000経験値になります。Lvが500になりました。パーティーへ振り分けます。人類史上初魔族撃破により、称号【魔を狩る者】。スキル【不倶戴天】を獲得しました。』
しかし、ギマンは最後にタリスマンから受けた傷により倒れ、失血死寸前の状態になっていた。
倒れたギマンに気づき皆が駆け寄る。
「ギマン!大丈夫か!?無茶しすぎだ!腹に穴が空いてるじゃないか! どうすれば...」
「ギマン!おい嘘だろ! せっかくカオリもアザミちゃんも無事に戻ってきたんだから死ぬなよ!」
「ギマンさん!そんな!私が回復魔法を使えれば...」
非情な現実に3人が打ちひしがれている時、カオリの超聴覚が茂みが揺れる音を捉える。
「そこにいるのは誰だ!?」
即座に弓を構える。遅れてカイルとリーシャも戦闘態勢をとる。
茂みから両手をあげ礼服を来た女性が出てきた。
「私は敵じゃない。カシミヤからお願いされて来た。私のスキルならそこの重傷を負っている怪我人を助けられる」
目を開けると知らない天井だった。
ん?ここはどこだ?確か俺はタリスマンに腹部を貫かれて気を失ったはず。
新しく着させられたのか、白いシャツを捲ると腹部は元に戻っていた。
その時、ドアが開き水が入った桶を持っているカオリと目が合った。
カオリは持っていた桶を落とし、俺に駆け寄り抱きしめる。
「良かった! 生きてたんだな! 心配したんだぞ!全く」
事情は分からないが、取り敢えず泣いているカオリの頭に手を置いた。
「心配かけて悪かったな。みんなは無事か? あの後なにがあったんだ?」
少し時間を置き、泣き止んだカオリが教えてくれた。
俺が倒れた後、冒険者の女が来て《修復》というスキルを使い治療した。その冒険者はSランクのルイジアナ=ベルモンドと言うらしい。
何故あの時間にそんな冒険者が居たかというと、冒険者ギルドの受付カシミヤさんが丁度俺達が外に出ていくのを見かけて、親友でもあるルイジアナに救援を依頼したそうだ。
カオリは違うが、俺とカイルとリーシャはFランクだったな。そんな奴らがあんな時間に外に出かけるのを見たら普通怪しむよな。
ちなみに外に出る時は兵士に錯覚をかけて何とかした。
そして、俺は冒険者ギルドの治療室で2日間寝てたという訳だ。
「そっか。カシミヤさんとルイジアナって人には感謝しないとな。なによりみんな無事で良かった」
「みんな無事で良かったじゃないだろう馬鹿者が。あと少しで失血死する所だったんだぞ。全く」
さっきの表情とは裏腹にカオリはブツブツと説教を始めた。
耳にタコが出来そうになった時に開けっ放しの扉からカイルとリーシャちゃんが現れた。
「ギマン!目覚ましたか。無事で良かったな」
「ギマンさん!良かったですー! というか、カオリさん?目が覚めたらまず報告するって約束でしょ?」
「す、すまない。つい。」
説教していたカオリが今度はリーシャちゃんに怒られて謝っていた。
女の子二人がわちゃわちゃ言い合っている間にカイルは俺に聞いてきた。
「そういやらなんでお前、珠廻花は10分前の事象にしか効果がないこと知ってたんだ?」
「あぁ。九頭龍戦の後、みんなと少し別行動をしてた時があったろ?そんときにちょいと実験してみたんだ。」
「すげぇな、ギマン。抜かりないな。」
「まぁ、全ての事象を元に戻すなんて言われてもピンとこなかったし、物は試しってね。」
カイルに褒められていい気になっていた時ふと、気になることを思い出した。
「そういえば、カオリの妹、アザミだっけ?今はどうしてるんだ?」
俺の言葉に3人は何故か視線を逸らした。そんな中、代表してカオリが答える。
「アザミはその、猛特訓をしている。眷属化していた時の記憶はあるらしく、魔族を相当憎んでてな。魔族殺、魔族殺と言いながら冒険者ギルドの訓練室に籠ってる」
お、おぉう。まあ確かにあんな経験したらそんな気持ちになるだろね。
「でもギマンには会いたがってたぞ。憎き魔族を倒してくれた神としてお礼と忠誠を誓いたいって」
「お礼はともかく忠誠?神? なぁカオリ、アザミちゃんってそういうキャラなのか?」
「あぁそうだ。それと、昔から何かにハマるとそれ以外の事は全くしなくなるんだ。困った妹だよ」
カオリそう言いながら目頭を片手でおさえた。
「大変なんだなカオリも。会いに行くことは了承しよう。だが神とか崇めて奉られる事だけは勘弁だからな。」
「わかった。そこは私がなんとかしよう。」
「まぁともかく、みんな無事で本当に良かった。ありがとな」
俺は右拳をみんなに向けた。カイルはすぐさま意図を理解し拳を合わせた。遅れてリーシャちゃん、カオリの順番に4つの拳が合わさる。
こうして、【リューグナー】世界初の人類側が魔族を倒した歴史的瞬間が誕生した。
「申し上げます。五将血鬼の1人タリスマンが消滅しました」
「おや?あれには時戻しを渡していたのに。黒犬の隻狼にでもやられたのかしら?」
「いえ、私の部下の報告によると、その...」
「貴方らしくないわねヘクター? 誰にやれたの?」
「はっ。タリスマンを消滅させたのは人間です。」
「......ウフフフ。堅物で真面目な貴方がそんな嘘を言うわけないのに疑ってしまうほどの内容ね。面白いわね。その情報もっと詳しく探りなさい」
「御意」
報告した男は音もなく消え去った。
残された女性は豪華絢爛な椅子から立ち上がり窓を開け、テラスに出る。
「人間が魔族を討つね。もしかしたら、その人間、私の野望に使えるかもしれないわね」
その女性こそ真祖の吸血鬼であり、十六天魔王の1人。序列4位『哀艶天』アリステラ=クドゥルフだ。




