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27話 仲間と覚醒

お読みいただきありがとうございます。




――ガキン!


狼からの超速の連撃を短剣で防ぎながら、時折タリスマンから放たれる爪撃を回避していく。


一撃でも当てれば倒せる狼に狙いを定めたいが、動きが早すぎて捉えきれず、それならカウンターをと思うが、その絶妙なタイミングでタリスマンに邪魔される。


このままだと徐々に削られて終わってしまう。



「さっきまでの威勢はどうしたんですか?防いだり逃げたりで私は長期戦は結構なんですけど、あなた方にはもうそんな余裕はないと思いますけど。」



おっしゃる通りだクソ野郎。ここは荒い手だが使うしかない。


火魔法10階級魔法【紅蓮焔柱(ぐれんえんちゅう)】を自分を巻き込むように広範囲に発動させる。



「自分ごと私たちを巻き込む気ですか!月狼(マーナガルム)逃げなさい!」



狼が自慢の俊敏で逃げようとしたが、そうはさせない。



「【泥沼化】」



一目散に逃げようと直線上に走るなら軌道が丸わかりだ。

狼は足を泥沼に捕まれ動けずにいた。


なんとか踏ん張り抜け出せたが、もう遅い。

地面から超高熱の焔の柱が俺達ごと無差別に焼き焦がしていく。


狼はその焔を受け、血に戻るがその血すら燃焼して蒸発する。タリスマンも焔を受けたが不死のお陰で無傷だ。狼をやられた事で苦い表情をしている。


くそ。皮膚が肺が燃えていく。やべぇ。早く水魔法を...。意識が...。



「【堕落する水源(フォールンソウス)】!!」



俺が危うく燃え尽きようとした時、リーシャちゃんがこちらに水魔法をかけてくれた。



「キャッ!」



しかし、俺に構っている間にリーシャちゃんの左肩に弓矢が貫通した。



「リーシャちゃん!」


「こちらの事は気にしないでください!だから、ギマンさんはあの魔族に集中してください!」



こちらに構っている暇なんか無いだろうに、突然、焔の柱が上がり心配したのか己を省みず助けてくれたんだろう。



「わかった。ありがとう。あと回復魔法は何回使えそう?」



こんな自殺行為な事をしたのはリーシャちゃんの回復魔法があるからだが、あんな破格な魔法、相当MPを消費するに違いない。



「あと2回です。ごめんなさい」


「謝らなくていいさ。なら、今は使わなくていい。そちらの状況が悪化したら勿論使ってもらっていいけど、あと1回だけは残しといてくれ」


「分かりました!」



短いやり取りを終え、俺はタリスマンに気づかれないようにアイテムボックスから珠廻花(しゅかいばな)を磨り潰し液体にした物を内ポケットへと入れ、歩みを進める。



__sideリーシャ



私達は変わり果ててしまったカオリさんとその妹のアザミさんを人間に戻すため、なるべく傷つけないように気をつけながらも苦戦している。


アザミさんの方は眷属になる前のステータスが低かったのか、そこまで脅威ではなく、お兄ちゃんが繰り出される双剣を斧で捌いていく。


問題はカオリさんだ。眷属になる前でも私達よりLvが高かったのに、今はそれより強化されて、もはや手がつけれない。


強烈な風魔法を宿った弓矢が無慈悲に急所を狙ってくるだけではなく、隙が生じれば、聖なる弾丸(ホーリーバレッド)を撃つ機会を伺っている。


取り敢えず、あの銃を撃たせるのは絶対にダメ。


ギマンさんを信じて今は2人を止めることだけに集中しなくちゃ。



「リーシャ!傷は大丈夫か!?この妹の方は何とかなりそうだが、カオリが手がつけられん」



背中を預け合った仲間が急に裏切り、躊躇なく殺しに来るのは精神的に辛い。



「カオリさんは私が何とかするから、お兄ちゃんはアザミさん相手にしてて」


「おい!1人でホントに大丈夫なのか?」


「いいから黙ってて」


「わかった。死ぬなよ」



カイルはスキルを使い果たし、アザミを相手にするのは容易いが、カオリとなると瞬殺されかねなかった。


リーシャは力強い黄金の瞳で血に狂った真紅の瞳を睨む。



「【蒼炎(そうえん)】付与。カオリさん、行きます!」



何と、リーシャは杖に蒼炎(そうえん)を付与させて、カオリ相手に接近戦を持ち込んだ。


リーシャは自分の中にある魔力がどれくらいなのか、数々の実戦経験からある程度分かるようになってきた。


そして、ギマンにあと2回と言ったのは強がりだった。ギマンは戦闘を維持しながらでも打てる回数の解釈で聞いてきたがリーシャは残りの魔力を限界まで削った数を言った。ギマンに失望して欲しくなかったが嘘はいけないと思った故の言動だった。


遠距離戦で魔法を連打すると回復魔法を打つ魔力が無くなる為、リーシャは接近戦に持ち込んだ。


リーシャが接近してくるとカオリは弓を収め、風で出来た剣を創り出し右手に持つ。左手には銃を構え応戦する。


蒼い炎を纏った杖と荒れ狂う暴風の剣がぶつかり合う。

鍔迫り合いの最中、カオリは銃をリーシャの顔に向ける。リーシャはそれを必死で交わそうと首を思いっきり傾け避けようとするが、腹部に強烈な痛みを感じた。


銃を囮にしてカオリは膝蹴りを食らわしていた。リーシャが膝蹴りを受け苦しんで下を向いた時に追い討ちのかかと落としを入れる。

地面にうつ伏せに倒れたリーシャに銃を放ったがすんでのところでかわされる。


タリスマンに向けて放たれた時の威力を見ていたリーシャはこのぐらいではかわせないと思っていたが、あの時と比べると雲泥の差があった。


やはり近接戦じゃ到底敵わない。頭から血を流し、それが顔に垂れてくる。腹部の痛みも尋常じゃない。


杖を支えにし、歯を食いしばり、痛みを必死に我慢しながらでも毅然としてカオリの前に立ちはだかる。



その姿にカオリの瞳が揺れる。動きが止まり、銃と剣がカタカタと音を立てる。


「カオリさん!? しっかりしてください! 妹さんが生きてたんですよ!? だから、後はあの魔族を倒せば上手くいくんです!」


その言葉にカオリは地面に向かい頭を抱え苦しみだした。



「グアァァァァァァ!!!!」



雄叫びを発し、空に銃を2発放ち、風の斬撃が飛び交う。


「わ、、、わだぁ、じぃはぁ、、、」



眷属になってから初めて聞き取れる言葉を喋ろうとしている。左目の半分が翡翠色に変わっていた。



_sideカオリ




――あぁ。ここはどこだ。


カオリは目を覚ますと見渡す限りの血の海の上に浮かんでいた。


私はあの憎き吸血鬼(ヴァンパイア)を倒した後に背中に激痛を感じて倒れたんだったっけ?


あれ?そもそも何で吸血鬼(ヴァンパイア)なんて倒そうと思ったんだ?


魔族となんかよく戦おうと思ったな私。1人で挑むなんて馬鹿げてる。 ん?1人?そう言えば他に一緒に戦っている人も居たはず....。


まぁいいか。ここに居ると不思議と心が落ち着く。

何も考えなくていい。楽だ。



――――しっかりしろ!


ズキッ!


頭の中に響いた声が胸を締めつける。



何だこの声は。何か大事なことを忘れている気が。



――――しっかりしてください!



今度は女の子の声だ。この声を聞くと何故か負けられないという気持ちになる。



――――勝って必ず4人生きてかならここに帰ってこよう。



そうだ。私は絶対にあの場所に帰らなくては...。



カイル。リーシャ。そしてギマン。



あぁ。思い出した。なんでこんな大事なこと忘れていたんだろう...。



そして、アザミ生きてたんだな。よかった。ホントによかった。必ず私が元に戻してやるからな。



そろそろこんな気味悪い所、抜け出さないとな。



辺りを見渡しと遠くにギマンの背中が見えた。

私はその姿を見ると一目散に血の海を泳ぎ辿りついた。


すると、ギマンが振り返り――遅せぇよ。バカ。と優しい口調で微笑みながら、私の頭に手を乗せた。


『【超錯覚】により【不撓不屈(ふとうふくつ)】【破魔の矢(はまのや)】を獲得しました』


目が覚めると、傷を負っているリーシャがいた。

アザミを止めているカイルがいた。

タリスマンと必死に戦っているギマンがいた。


今まで自分が皆に何をしてきたのか記憶に流れ込んできた。


「みんなごめん。そして、ありがとう。私はまだ戦える!」



弓を構えアザミに狙いをつけ矢を放った。何故かこうしないといけない気がした。


放った矢は直撃すると黒い靄がアザミの体から逃げるように消えて行った。


糸が切れた人形のようにアザミは倒れた。








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