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16話 魔族と交渉

お読みいただきありがとうございます。




急に目の前に化け物が現れた俺はここからの行動を《並列思考》を使いながら考えている時、タリスマンがこちらを向き話しかけてきた。



「人間の中では強い部類になるように血を分け与えたんですけどね。貴方がお殺りになったので?」



お殺りになったのはてめーだよ。と心の中でツッコミながらも冷静に分析する。

話してきたって言うことは今すぐに俺を消すつもりはないのか、それとも利用しようとしてるのか。



どちらにしても戦闘が起きず、話し合いだけで解決するんならそれに超したことはない。



「あぁ、そうだ俺が殺った」



「んーおかしいですね。高ランク冒険者や勇者パーティ、それに腕のたつ者はほとんど【ノストラ要塞】に居ると情報があったんですけどね。」



なるほど。ハンスを使って状況を聞いてたって訳か。



そこに情報ゼロの俺に自分の手先を殺されたから、(殺したのはアイツだけど)不思議に思ってんのか。



「俺の仲間が憲兵団を呼んでくれている。もうすぐここに駆けつけてくれるだろう。アンタからしたらその程度どうって事はないんだろうけど表立って騒ぎが起きれば不味いんじゃないのか?」



ここで弱気に出るのはダメだ。こんな強い奴がなんでハンスという駒を使い、コソコソとしてたのか。



さっきカイルと話してた時、魔神共の誰が人間領を攻めるか決めあぐねていると聞いた。



こいつは何処ぞの魔王の幹部かそれに属するものなのだろう。そんな奴が上の決定も決まっていないのに人間領にちょっかいかけているとバレたくないのだと俺は仮定した。



「ほう。急に目の前に魔族が出てきたのに驚きもせずに、即座に状況を分析して私の弱みを見つけ出しましたか。どうやら頭の回転が恐ろしく早いのですね」



タリスマンがおもむろに拍手をしだす。



「しかし、それは裏返すと私には武力では勝てないと言うことになります。色々と知ってしまったあなたを殺さない選択肢は私には無いですよ?」



急に拍手を止め凄まじい殺気を放ってきた。


まぁそうだよな。こいつは今ここで俺を殺してさよならすればいいだけの話だもんな。



だが、俺もこんなところで死ぬ訳にはいかない。



「じゃあ、取り引きをしないか? あんた人間の若い女を集めてたよな? 極上の若い女を用意する。そしてアンタの事は絶対に口外しない。どうだ?」



俺の言葉にタリスマンは一瞬だけ眉をピクつかせる。



その瞬間、俺はタリスマンに《錯覚》を発動。「この人間の取り引きに応じてもいいかもしれない」と。



タリスマンは顎に手を置いて考えこむ。



「ここ最近、新鮮な女性の血を飲んでませんでしたからね。その条件飲むのはいいかもしれないですが、貴方が口外しないという証拠はどう約束するのです?」



魔族にも《錯覚》は効果がある。これは大事な情報だ。



「ここまで慎重に事を行ってきたアンタの事だ。ハンスの他にも内通者は居るんだろ? そいつに俺の事を監視させればいい」



《錯覚》発動。「それなら良いか。どうせ人間などその気になればすぐに殺せる。何より今は喉が乾いている」



どうだ?



「ふむ。分かりました。その条件飲みましょう。ただしその女が極上ではなかった場合や裏切った場合は分かってますね?」



よし。食いついてきたな。



「あぁ、それでいい。女の受け渡し場所と日時はどうする?」



「自分から申し出るとは感心ですね。日時は明日の23時、場所は魔の森でお願いします。」



「わかった。」

明日。随分と早いな。どんだけ喉乾いてんだよ。



「あなた人間にしておくには惜しいですね。私の眷属になりませんか?」



タリスマンが殺気を消し、そんな事を言ってきた。



確かにこいつの眷属となって一生働きアリみたいになれば生きられるのだろう。生憎だが俺は誰かに使われるのなんかまっぴらごめんだね。



異世界まで来てタダでさえスローライフとは程遠い世界に飛ばされてんのに、そんな中こいつの奴隷なんか最悪だ。



「目の前でその眷属がこんな姿になってるのに?俺はごめんだね。」



全身の血を抜かれ干からびてるハンスを指差しながら俺は言った。



「ハハハ!そう言えばそうでしたね。残念です。ではまた明日。楽しみにしてますよ。あっそうでした。最後に、今のこの体は分身みたいなもので本体の私はもっと強いですよ。だから、無駄な努力はしない方がよいかと。では」



そう言うと血で出来た人型は形を保つことが出来なくなり、地面に流れた。


ちっ、《鑑定》したのバレてたのか。


俺は本体のタリスマンがどの程度の強さなのか、そして明日までにどうやって対抗するか、夕暮れ時の空を眺めながら考え、カイル達の家へ向かった。




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