108話 訓練二回目と王妃
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「あれ?こんなに人数少なかったっけ?」
魔王と五将血鬼を含めた訓練二回目、俺達が王の間に入ると、当初は500人以上居た参加者が、現在見た感じ100人もいないように感じた。
「すまんのう。儂も必死に説得はしたんだが、やはり魔族から指導を受けるのが耐えきれない者と、この前の訓練で実力の違いを見せつけられて自主的に辞退した者を含めたら、これだけしか残らんかった。魔族の事を話した者にはしっかりと口外しない事だけは約束したんだが」
デノンハウザーは俺にそう言って謝る。
まぁある程度は抜ける者達がいることは覚悟していたが、まさかここまで居なくなるとは俺も思わなかった。
「フフッ。どうやら私達もあまり歓迎されてないみたい。所々殺気が入り交じってるわね」
「アリステラ様、どうされますか?消しましょうか?」
「やめなさい。魔族から受けた仕打ちを考えれば当然の反応でしょう。今は大人しくしてなさい」
「御意」
ひとまず引き下がったがヘクターだったが、殺気を飛ばした者達を睨むことだけはやめていなかった。
残りの五将血鬼もヘクター程ではないものの、主に殺気を向けられて良い思いはしていない。
「俺の両親と妹は魔族に殺されたんだ!ここに残ったのもこの手で仇をうつために!」
ここでいきなり、訓練の参加者の一人が憎悪を念を抱きながら、剣を構えてアリステラに走り出した。
ヘクターはアリステラの方を見て確認をとる。そのアリステラは俺を見て、どうにかして欲しいと目で訴えかけてくる。
ここでアリステラや五将血鬼などが手を挙げて人間を殺そうものなら、もう二度と共闘などという事は出来ないだろう。
俺はアリステラへと走る参加者を止めようとした時
デノンハウザーが素手で剣を掴み、止めた。
「お、王よ...なぜ...」
斬りかかった男は、自分の手で尊敬王を傷つけた事に対して動揺していた。
「すまぬな。儂が不甲斐ないばかりに、こんな手段を取ってしまった事を。お主の気持ちは痛いほどわかる。だが、今まで魔族にいいようにされてきた人類が反撃出来る最後のチャンスなんだ。お主の気持ちが収まるまで儂をいくらでも殴ってもらっても構わぬ。だから、どうかここは踏みとどまって欲しい。頼む」
デノンハウザーの心からの願いに男は剣を離し、地面に座り込む。
「王だって、エリザベーラ王妃の命を魔族に奪われたじゃありませんか! なのになんで魔族と共闘なんか...」
デノンハウザーは奥さんを魔族に殺されたのか。
それなのに魔族と共闘すると決める覚悟はどれほどのものだったのだろうか。
「確かにな。でも儂はあの日、エリザベーラと約束したのだ。どんな事があろうと民を守り、奪われた領地を取り戻すと。だから儂は悪魔に魂を売ろうが、お主達に罵倒され嫌われようが、必ず人類を守り抜くと決めた」
「それをお主達に強要する気はない。だがここに残るならその覚悟を持って挑んで欲しい」
デノンハウザーは掴んだ剣を離し、地面に座り込んでいる男に返す。
男はデノンハウザーの気持ちを知って、ボロボロと涙を零していた。
「グス...! 分かりました。王の覚悟伝わりました。俺やります!やらせてください!」
男は涙を拭いて、強い覚悟を持った目でデノンハウザーに言い返した。
「ありがとう勇敢なる我が民よ。すまないアリステラ殿、不快な思いにさせてしまったのなら儂が何でもする。だから民に手を出す事だけはやめてほしい」
その王の態度に、今まで殺気を向けていた者達は涙を流し、やる気に溢れた目付きに変わっていった。
「いいえ。良いものを見させてもらったわ。ヘクター、それに他の者も下がりなさい」
アリステラはどこかご機嫌になり、守ろうとアリステラの前に立ちはだかっていた五将血鬼を下がらせる。
「それじゃあ訓練を始めましょうか。取り敢えず私の庭へと案内するわ」
ご機嫌なアリステラがニコリと笑う。
その笑みに嫌な予感がしたのは俺だけではないだろう。
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