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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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昼と夜は恩師を招く

「砂漠、広いわよねぇ」

「村がこの辺りで門がここ。ここまで馬車でかかる時間を考えれば砂漠なんてとんでもない広さだわ」

 昼と夜が揃ってため息を吐いたのを見て、恩師がくっくっと喉を鳴らした。

「やっぱりこの方が広さとかがわかりやすいねぇ」

 昼と夜が揃って、今度は何度も頷いた。

「ありがとうございます。こうしてみると、朝がどれだけ無謀だったかよくわかります」

 夜の言葉に、昼は「それだけじゃないわ」と言った。

「どれだけ幸運だったかもわかるわ。どの国の寺院かわからないけれど、手紙が書けるところに居るんだもの」

「今も居るかはわからないわよ。なんだかわからない事態に巻き込まれているようだし」

「でも、いないわけもないでしょう」

 昼が不安気に恩師を見ると、恩師は申し訳ないように首を振った。

「わからないよ、なにもわからない。朝ちゃんについては、また連絡が来るのを待つしかないだろうねぇ」

 それでも「大丈夫だろうよ、あの子は運が強いよ」と続けた。

「運が強いのは確かだと思うわ」

 夜が苦笑したのを見て、昼も「そうよね。本当に幸運がついているんだわ」と繰り返した。

「今日はね、他にも話があってね」

 恩師はお茶のおかわりを貰うと、ようやく訪いの本題を切り出した。

「話、ですか」

 ジオラマやらなにやらですっかり狭くなってしまった客間に恩師のための椅子を持ち込んだため、立ったままお茶を飲むはめになった夜が首を傾げた。

「なんでしょうか」

 扉の脇に食堂の椅子を持ってきて座っている昼が、生真面目な顔で恩師を見つめる。

――こういうところは変わらないねぇ。

 夜は物事を冷静に見ようとするし、昼はまず聞き取ろうとする。

――あの子は。

 朝は、実は3人のうちでは1番理解が早い。行動的だけれど、それは考えて言葉にする前に理解してしまっているようなところがあるからだ。

 ここにいないもうひとりを思うと、やはり不安を感じるものである。

 恩師は息を整え、膝の上で茶器を落ち着かせると、「近隣の国の情勢も少しばかり落ち着きがなくなってきているんだよ」と話し始めた。



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