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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
244/247

朝は両替屋で・3

「ええ、お考えのとおり、私は東の国の生まれです」

 ヒナダの声が少し低くなった。常の声に戻ったというわけだ。

「そうでしょうね。特徴がありますもの」

「暮らしているところではあまり気づかれないもので、うかつにしておりました」

「気がつくのも私が、ええ、先にも言いましたけれど、私はこの仕事が長いものですから。おそらく想像されているよりも、そうですね、二十年は長いですよ」

「いや、それは」

 言い淀んだヒナダに、大女将は「あまり世辞は得意ではないようですね。その方が信頼もできるというものですから、悪いことではありません」と微笑んだ。

「いやぁ、かないませんね。……じゃあ、私よりは」

「私から話しましょう」

 ハバラがヒナダの言葉を引き取った。

 朝はただ大人しく2杯目のお茶を飲み干した。



「なんだかややこしいことになってらっしゃって」

 大女将の手元の茶碗には冷めた茶が残っている。少し重い吐息がその水面を揺らした。

「内乱がなければそう面倒なこともなかったはず」

 ハバラはちらっと朝を見て、「まぁ、おそらく、ですが」と付け加えたので、朝は少しばかり憮然とした気持ちになった。

「そうですねぇ、ねぇ、あなた」

 苦笑した大女将が朝に向かって問いかけた。

「ここまで来たのだから、先に進みたい気持ちはわかりますけれど、無茶をしたいわけではないんでしょう?」

「はい。もちろんです」

 朝自身は無茶をしているつもりはあまりないのだが、ハバラとヒナダに無理をさせている気はしている。ひとりで行けるならその方がいいかもしれないが、それはかなり難しいことはわかっているから、申し訳ないとも思っている。

「なら、私からいくつか提案をさせて貰ってもいいかしら」

 朝は頷いた。

「はい。ぜひ」


 

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