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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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モリーは情報戦を語る

 季節が移り冬の足音がそこかしこで聞こえるようになる頃にようよう内乱の情報は行きわたり、それにつれて各国も浮ついていた足をどこに下ろすか決めはじめた。だがそれは暫定的で、例えば近隣の国はとりあえず難民を受け入れや避難路の確保などが主だが、いつまでもできることではない。

「だからさ、ようは情報戦なのよ。より正確な情報をどれだけ手に入れるかで動き方が変わるでしょう。そうそう、新聞をたくさん持っている国って情報を手に入れやすいけど正確とは限らないんだって。とにかくどこの国もあそことかよそとかに人を派遣して探っているところなわけ。でさ、私みたいなスパイも駆り出されるの。全然スパイに向いてないのにね。あ、ありがとう」

 モリー・ロビンソンはお代わりをいれてもらったカップを受け取ってそこでやっと口を閉じた。

「情報戦って、とっても怖そうな響きね」

 昼は思わず身を震わせて夜を見た。

「穏やかではないわね」

 夜は肩をすくめると、モリーに向けて続ける。

「でもスパイなんて言ってしまって、大事な情報は集められるの?」

 あはははは、とモリーは笑いながら問い返す。

「夜は大事な情報を持ってるの?」

「それもそうね」

 夜も苦笑を返すしかない。

「ねぇ、その情報ってどんなの? 俺が持ってるかもって思わないの? 俺、話せることなら話すよ」

 ジャンジャックの言葉に、3人が揃って声を無くした。

「あのね、話せることってきっと大事な情報じゃないよ」

 ようよう絞り出したモリーの言葉に、ジャンジャックは「なんで?」と首を傾げる。

「仕事に関係することは話せないことも多いけど、情報戦に必要なのって俺の仕事には関係ないだろうから話せると思うし、俺にとって大事じゃなくても他の人には大事かもしれないだろう?」

「そ、そうかしら」

 悩むモリーを見て、やっぱりスパイには向いていないなと、夜には思えた。


 


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