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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
222/247

夜は机に向かう

 次の日はよく晴れ渡っていたが、キンと冷えていた。

 夜は厚手の毛布を1枚元の客間から引っ張り出して納屋にいるジャンジャックに渡した。彼は密な織の絨毯の上に持参した厚手の寝袋と薄い毛布に加えて毛皮の付いたコートを掛けているから大丈夫と言ったが、それでも有難く借りていたから、思っていたよりも寒かったのかもしれない。

 だが三つ子の納屋はすっかりこの大柄な男が住みやすいように整えられていて、その居心地の良さに夜は呆れるより感心してしまった。

「手際がいいんですね」

 昨日着いたばかりとは思えない仕事の速さに溜息をつけば、ジャンジャックは

「とてもきれいにしてあったから楽だった。これでこの冬は快適に過ごせるよ」

と笑ったので、夜はこの冬中いるつもりなのかと驚いたが、それを顔に出すことはしなかった。



 ジャンジャックは他にも家のことを手伝ってくれた後、しっかりとコートを着込んで昼と一緒に町へ買い出しに行ってくれた。

 夜はひととおりの見回りを終えてから、ふたりが帰ってきた時のためにパンを焼き、スープを作った。

 奮発してジャンジャックの手土産の貝に、芋などの野菜と牛乳をたっぷり入れてあるから温まるだろう。前に買い出しに行ってから日にちが開いたので買う物が多いし、恩師のところに寄ってもらう用事もあるから、遅くなるに違いない。

 夜は珍しくお茶ではなくコーヒーを入れると、立体模型の地図の横に据え置いた机に新しい紙を置き、たっぷりとインクの入った壺とペンを用意する。

――あれ、とっても便利だったわ。

 朝がグラカエスから譲り受けたという書いては消せるペンを思い出して、夜は今度村で探してみようかと思い、村には無いわね、と首を振った。

――あの人達なら知っているかもしれない。

 次に手紙を書く時に、学園都市の人々に聞いてみようと決めてから、

「さて」

 と、夜は机に向かった。





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