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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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夜は宿で、朝は寺院で、昼は診療所で

 思えば、と、夜は暗闇の中で天井を見ながら考えた。

――きれいな宿だわ。お風呂も目地まで清潔だったし。

 どうやら少し緊張している。と、夜は思った。ここだって国は違うのに、言葉が通じやすいせいか、文化が近いせいか、気持ちは楽だったようだ。明日行く予定の国は、言葉がかなり変わる。共通語がうまく通じればいいが、こんな風に宿をとることができるだろうか。

 珍しいことに、夜はなかなか寝付けなかった。



 ベッドは硬く小さかったが清潔でさっぱりしていた。他には小さな箪笥と椅子しかなかったが、部屋もすっきりと清潔だった。

 砂漠の中の町にも関わらず水は豊富にあるようで、朝は砂まみれの体を洗うこともできた。そして夢も見ずにぐっすり眠った。砂の上で眠るのとは違い、なんて楽なんだろうと思いながら。



 目を開いた時、真っ先に見えたのは空に浮かんだ細い月だった。

 カーテンを閉め忘れたらしい窓の四角い縁取りの向こう側に輝く月は細く、いまにも壊れそうに美しかった。

 ずいぶん長く寝ていたから、昼の目は冴えてしまっていた。

 だからじっと月を見ていた。なんてきれいなんだろうと思うだけで、他のことは何ひとつ頭に浮かばなかった。明日のことも考えず、ただ月を見ていた。



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