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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
214/247

昼と夜は久し振りにふたりでお茶を飲む

「夜!」

 振り向くと船着き場の外れで昼が大きく手を振っている。小走りになった夜に、昼も駆け寄る。そっくりなふたりを、目を瞬かせた切符売り場のおばさんが窓口から身を乗り出して見ているが、姉妹は気にもしないで手を取り合った。

「船は揺れなかった?」

「大丈夫。今日は穏やかだったようよ」

「良かった。先生がらばを貸してくださったの。明日寄るからすぐに返さなくていいって言ってくれて。荷物少し増えたのね」

「助かったわ。お土産もたくさんあるの。先生の分はらばを返す時に一緒に預ければいいかしら」

「かまわないと思うわ。そうそう、あと2、3日で戻ってくるってジャンジャックから連絡があったんだけど、夜が帰ってきたなら無理しなくていいと伝えた方がいいかしら」

「そうねぇ。ふふ」

 思わず苦笑を零した夜に、昼が「なあに?」と首を傾げる。

「こんな話を前にもしたわね」

「……そうね。とっても分厚い手紙が毎日来ていた時ね」

 苦笑した顔もそっくりなふたりを、待ちかねたらばが、ぶおおと呼んだ。



「種は十分ね」

「ほんとうにたくさんお世話になってしまったわ」

 小さな家の裏手の畑にある小屋の棚に整然と並べられた種などのあれやこれを見てから戻った夜に、昼は夜の土産の中から菓子を選んで小さな皿に並べているところだった。

「これはお薦めよ」

 夜が指さしたひとつを昼は「あら」と言いながら摘まんで食べる。

「……おいしい。なにか香辛料が使われているのね。甘いけれどピリッとするわ」

「これはスパイに教えて貰ったお菓子なのよ」

「スパイ?」

「そう、おしゃべりな女の子のスパイ」

「お茶をいれたらその話を聞かせてくれる?」

「もちろん」

 昼はうきうきと夜の気に入りの茶葉を手に取った。







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