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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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夜は心に刻む

「何と書いてあるの?」

 なんと言っていいのかわからないまま、それでも頭に浮かんだそのままを言葉にした夜の問いに、モリーは「ええっとねぇ」と苦笑した。

「なんか突拍子もないこと」

「突拍子もないこと?」

「うん。あ、そもそもこれって極秘事項なんだよね」

「え?」

 モリーの言葉に、夜はあっけにとられた。

「だから話しちゃいけないんだけどね」

「なら、預けてもいけなかったのでは?」

「だから戻ってくればいいのよ。それに言わなければわからなかったでしょ? 動かない時計なんて、獲られたら捨てられちゃうだけだもの」

「そう、そうかしら」

 夜は再び言葉を失ったが、モリーはにこやかに続けた。

「で、書いてあったのは」

「ちょっと待って。私が聞いていけないのなら言わなくていいわ」

 慌てて止めた夜の肩をモリーはポンっと叩いた後、軽く掴んだままで続けた。

「気にしないで。夜のことは信じているわ。中身を見もしないで預かっていてくれたんだもの」

「でも」

 モリーの手の力が少しだけ強くなった。

「本当に気にしなくていいの。これはね」

 反対側の手に持った時計といつの間にかくるりと丸まっている針金をフルフルっと振った。

「反乱分子あり。亡命者に気をつけろって書いてあるの」

「……そう」

「そうなの」

 うふふと笑うモリーを見つめながら、夜は人を見かけで判断してはいけないと心に刻み込んだ。





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