表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
205/247

朝は足止め中

「仕入れとしてはこんなもんだろう」

「多いぐらいだ。重くなる」

「売りながら行くんだ。このぐらいでいいんだよ」

「……こっちは」

「これは賄賂だな」

「なるほど」

 ハバラが顔を顰めて開いている袋を覗き込んだ朝は、微かな匂いに同じように顔を顰めた。

「これが賄賂?」

 ふたりの顔を見ながらヒナダが笑った。

「ここから東の国では貴重な虫だ。ハバラ、お前さん、現物見たの初めてか」

「え、虫?」

「ああ」

 朝とハバラの声が重なった。朝が袋からハバラへ視線を移す。

「初めて?」

「ああ。聞いてはいたが」

 ヒナダがハバラの手から袋を取り上げると、くるくると紐を巻いて口をしっかりと縛る。

「生きてるの?」

「まさか。これは乾燥させてある。薬になるんだ」

「薬?」

「簡単に手に入る薬じゃないから普通は知らない。痛み止めとしてはかなり良く効くが、繰り返し使うと中毒になる。まあ、薬ってのは毒にもなるもんだ」

「ほう」

 感心したように袋を見つめる朝に苦笑しながら、「もうちょっと仕入れたいものもある」とヒナダはハバラを見返す。

「必要か?」

 ハバラは窓の外を見る。町に着いた途端に降りはじめた雨は、しとしとと1週間も降り続いている。商家のお嬢様らしくと、広々とした部屋を2部屋も押さえているので宿代もばかにならない。

 だがハバラはもちろん料金よりも情勢を気にしているのだ。時が過ぎて内乱が落ち着けばいいが、反対に騒動が広がるとますます移動がしづらくなる。そして今のところ、内乱が収まってきているという情報は入ってきていない。

「雨もしばらく続くだろう。焦っても仕方ない」

「ああ」

 ひとつ息を吐いて、ハバラはヒナダに頷いた。

「仕方がないな」

 よし、と軽く膝を叩いて立ち上がったヒナダを見上げ、「私も外に出たいわ」と言った朝に、ハバラとヒナダは揃って首を横に振った。

「駄目だ」

「やめとけ」

 もちろん、それには理由がある。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ