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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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昼は村へ向かう

 昼は戸締りをしっかりと確認してから、ジャンジャックと村へ向かった。ジャンジャックに留守を頼んでもよかったのだが、村へのそう短くもない道のりをひとりで行くには不安が残る。

 飛行機乗りが再び訪れるとは考えにくいが、村で顔を合わせないとも限らない。

――でも村に行くことは無いかもしれないけど。

 村の中でもかなりの数の娘たちと浮名を流しているから見つかりたくないだろう。とりあえず行き帰りの道中の用心が肝心だろうと考え、ジャンジャックに一緒に行ってもらうことにしたのだ。

――なんのために来たのか、ちっともわからない。

 この前も今回も、なんの目的でこんなところまで来たのか、理由がさっぱりわからないのが不気味だ。だから夜も、話を聞いた朝も、昼がひとりになるよりはジャンジャックと一緒の方がよほど安全だと思ったのだし、まさしく頼りになった。



「電信速を送って、あとは手紙か?」

「はい。それと先生とお話をする時に一緒にいて聞いていただきたいです」

「俺がいていいの?」

「はい。夜に、誰かと話をする時は恩師と雖もふたりきりではなく、信用できる人に同席してもらうようにと言われていて」

「俺でいいの?}

「はい。信用しています」

 ジャンジャックの顔が耳まで赤くなったが、昼は前を見たまま歩いていたので、それには気がつかずに続ける。

「誰かにいてもらうことで話したことの証明になるし、思い出す時の助けになるし、違う角度での意見が聞けるし」

「な、なるほどねぇ」

「それに、ジャンジャックさんはあちこちに言いふらすような人ではないと思いますし」

 昼にしたら夜とも話していたことのただの確認の言葉だったのだが、いきなり立ち止まったジャンジャックの首から上が真っ赤になっているのを見て、具合が悪いのかと慌てるはめになった原因とは思い至ることは、結局のところ無かったのだ。


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