小休止・閑話2
今回は閑話です。
三つ子が保温瓶で盛り上がっています。
「保温瓶2本、重かったでしょう」
そう問いかけた朝はなんだか嬉しそうだ。
「ほとんどの間、昼が持っていてくれたから、私は楽をさせてもらったけれど」
夜が肩をすくめて言えば、昼はにっこりと姉妹に微笑みかけた。
「このぐらい、収穫時の豆袋に比べれば、どうってことないわぁ」
「なるほど」
「確かに」
朝と夜が揃って頷いた後、昼は「でもね」と少し眉根を寄せた。
「問題はやっぱり洗う時と、補充をする時なのよねぇ」
「どこでも洗えるってわけじゃないものね」
言ってから、朝は「でもすぐに帰るなら、帰ってから洗えばいいのよね」と続ける。
「泊まったところでコーヒーを用意していただいた時は、本当に嬉しかったわ」
夜が思い返してフフっと笑う。
「コーヒーの次にお茶を入れる時には、きっちりと洗わないと味が変になるから、やっぱり洗うのは早めにしっかりが大切なのよねぇ」
と言った昼は、「でも洗い方のコツを見つけたのよ」と笑顔を大きくする。
「コツ?」
「どんな?」
姉妹の言葉がまた重なった。
「この小さな布を使うの」
タターンと、昼はポケットから荒い織りの手のひらほどの布を取り出した。
「いつのまに」
朝が笑い、
「持ち歩いているのよ」
と、夜が微笑んだ。
そうして今度は保温瓶の洗い方について、ひとしきり話が続いていき、しまいには
「じゃあ、グラカエスに保温瓶が無いか聞いてみるわ」
と朝が立ち上がり、
「私も賄いの方に伺ってみるわね」
と昼も続き、
「それならどこか買えるところが無いかも聞いてみましょう」
と夜は頷いた。
そうして商家の一行が売れ残っていたと1本の保温瓶を持ってきてくれた時、三つ子は歓声をあげて飛び上がったのだった。