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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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昼は西へ戻る

 昼は夜のように境目に興味を持ったわけではないし、両親の故国にも朝ほどに気を惹かれない。

 両親の生まれ育ったという場所に行ってみてもいいかもしれないと思うけれど、それなら3人揃って行きたい。両親の親族もいるのかもしれないけれど、1度も故国の話を聞かなかったことを思えば、それほどいい思い出も無いのかもしれないし、振り切ることが必要だったのかもしれない。

 どちらにしても、今は知る術もない。知らないところに行くには、ちょっとした勇気が必要だし、昼は勇気が多い方でもない。

 朝が無事でほっとしたし、久しぶりに揃って長く話ができたし、昼にとってはこれでひと段落ついてしまい、もうこれ以上はいいんじゃないかな、と思っている。

 それでもこれからは揃って過ごす方が少なくなるのかと思うと雪を持つ雲よりも気が塞ぐ。

「そんなに長くはかからないと思うわ。ちょっと寄り道をする感じ」

 夜がそう言葉をかけると、車窓から雲が隠している山脈をじっと見ていた昼がやっと振り返った。

「そうよね。それに教授の家にはしばらくいるのよね」

「いくつか聞きたい事とかもあるし、それにラングラーさんの」

 昼が「ああ」とため息をついた。

 ユアン・ラングラーの話も、昼の気を重くさせていることのひとつで、考えないようにするぐらいには大きく占めている。

「あの人、笑った顔が怖いから、あまり信用できないわね」

 その呟きはまさしく思っていることだったから、夜はつい吹き出してしまい、昼は怪訝そうに妹を見つめた。


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