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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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三つ子はまだ話している

「教授の家を出る時にサマンサ・フロイラ夫人に手紙を書いたら、そこから巡り巡って」

 朝がほうっと息をついた。

 ジャンジャックへ話が伝わったが早いか、昼が家に戻る頃には村で待っているという話になったという。先だって夫人と港湾のカイエン・ソー事務所長と話をした時、昼はジャンジャックとは会わずに戻っている。そんなこんなでどうも昼が考えている以上に心配をかけているらしい。

 もっとも出会い方からすれば、ジャンジャックの心配もわからないとも言い切れないと、夜は口にはしないがそう思っている。

「こういうのはどうかと思ったんだけれど」

 昼は視線をふわりと辺りに漂わせてから小さめの声で言った。

「ジャンジャックも、他の人も、あそこで出会った人達って、なんとなく距離が近い気がするの」

 夜は首を傾げたがすぐに、「ああ」と合点がいったように苦笑した。

「親切の距離が家族のようね」

 昼がお世話になった人々は、言い方を悪くすればお節介とも言えなくはない。もともとそういう気質の地域なのかもしれない。それならやはり境というのは人が作っているのかもしれない。

「私たち、あまりそういう付き合いはしてこなかったものね」

 朝もなるほどと頷いたが、「でも信頼できる人なら、助けてもらうのは悪くないと思うわ」と付け加えた。

「3人でできることって限りがあるもの。きちんと気持ちをお返しすればいいのよ」

 昼と夜がぽかんとして姉を見つめた。

「なに?}

 朝はどうしたんだろうと、妹ふたりを見つめ返す。

「ううん、朝ちゃん、お姉ちゃんみたいって思って」

「朝、修行、きちんとしていたのね」

 朝はなんとなく釈然としないながらも、「まあ、いろいろあったし」と返してお茶を飲んだ。




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