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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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三つ子は話し合う

「私たち、ずいぶんあちこちに行っているのねぇ」

 昼の言葉に夜は頷いたが、顔には苦笑が浮かんでいる。

「3人合わせればけっこうな数だけれど、半分は朝が行ったところね」

 そして姉を見て溜息をついた。

「本当に、無事で良かったわ」

「お互いにね」

 朝はふたりに笑いかけた後、「さて」と地図を見直した。

「商船に乗って、半島の南の端からくるりと回るようにして、いったん、西の港に向かったの。そこから東へ戻る海路を辿るつもりだったんだけどね」

 朝の指が地図の上を大きく動く。夜が首を傾げて尋ねた。

「船を乗っ取られた、ということだったかしら」

 昼の体がぶるっと震えた。

「無事で良かったわ」

「船というか、村そのものを占拠しようとしていたみたい。ただ、船に潜入したり商人を仲間に引き込んだりしていた割にはおおざっぱで場当たり的だと言ってたわね」

 朝はハバラとヒナダに聞いた話を伝える。計画していたにしては、村の防御を甘く見過ぎているとヒナダが苦笑していた。だから初めのうちは、落ち着いた頃に戻ってまた船に乗れると思ったようだ。だが新たな船の帆に掲げられた旗印を見て、ハバラもヒナダもこの稚拙な計画の影にある国に思い当たり、その考えを変えた。

「国って、どこ?」

 もっともな夜の疑問に、朝は首を振った。

「聞いてない」

 昼が驚いて目を見開いた。

「聞かなかったの?」

「舟の上で不安定だったし、ちょうど眠かった時だったから、すこうし、こう」

「面倒だったのね」

 夜の言葉に、朝は首を竦ませ、昼は「朝らしい」と笑った。

「必要ならハバラに聞くけど」

「朝がこれから東の国に行くというなら必要になると思うわ」

「そうね、危ないところはちゃんと知っておかないといけないと思う」

 朝はそこでふたりの妹に改めて聞いた。

「どうする?」

 昼と夜は顔を見合わせて少し考えてから揃って首を横に振った。





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