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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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三つ子の再会

 最初の声が誰だったのかわからない。いや、三つ子はわかっている。ほぼ同時だ。

 だが周囲の人達、それは訪いを告げた門番の僧侶、離れの扉を開けて朝から盆を受け取ったハバラ、離れから顔を出していたフォン師、明日からの予定を話すためにとちょうど離れの庭へ着いたところのグラカエス、この4人にはわからなかった。

「朝っ」

「……朝」

「昼っ、夜っ」

 駆け寄った3人の区別がかろうじてつくのは、朝が巡礼服を着ているからだ。もっとも巡礼者だからというより、この時は畑や家事には僧服より便利だからというだけだが。

「大丈夫? 大丈夫なの?」

「元気なのね、怪我とかもしてないわね」

「なんでここに?」

 三つ子はどちらかと言えば大人しい方で、口数も多いわけではない。それでも3人とも興奮している状態で、なにかを話さなければ互いが消えてなくなるとでも思っているかのようだ。

「本当に出家したの?」

「ここにいてくれて良かったわ」

「書いてなかったはずなんだけど、なんでわかったの?」

 三つ子が巴になって互いの手をしっかりと握りあっている。離せるタイミングも無くなってしまったのか、思いつきもしないのか、お互いの顔を見ながら返事も聞かずにただただ言葉を出している。

「その服動きやすそうでいいけど、本当に出家したの?」

「まさかこんなにすぐに見つかるとは思わなかったけど」

「なんでわかったの? 昼の勘がいいから? 夜の推理力が凄いから?」

 たまさか、朝の言葉が耳に入ったハバラが堪えられずに吹き出した。

「……推理力って」

 それほど大きな声ではなかったが、三つ子ははっとしてハバラを振り返り、ハバラはしまったというように顔を顰めた。その顰めた顔を見て、夜がポツリと言った。

「ハバラさん、ですね」

 ハバラは思わず、呟いた。

「……推理力」




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