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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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朝の気持ち

――昼と夜はどうしているんだろう。

 朝は賄いの支度から片付けまで終えたら、自分たちの分を持って離れに戻る。先日、フォン師が訪れたので量が多くて盆が重い。フォン師は難民の救済を受け入れない港町の寺院から出て、助けが必要なところを渡り歩いてきたらしい。

「あの町は閉鎖的に過ぎるからね。宗教の受け入れと難民の受け入れは違うようだ。院長の考えはわからないでもないが、私には向いていなくてね」

 フォン師とグラカエスは知り合いだから、手が必要という連絡は割合い早くに届いたそうだが、途中の町々で薬を置いたり、簡単な手伝いをしたりしていたので時間がかかってしまったと苦笑していた。

「ここを手伝いながら、ついでに薬の補充もしようと思ってね」

 しばらく居た後には、内乱の起きた国の近くまで行きたいと言う。

「危ないのでは」

「危なくても、必要とされるところに行くのが私の信じる教えだからね」

「なるほど」

 巡礼の仕方は教えて貰ったけれど、信仰の目指すところまでは朝にはよくわからない。

――村は大丈夫なのかしら。

 聞いた限りでは、砂漠の反対側の国へは影響が出ていないようだ。だが情勢というのは刻刻と変わっていく。朝は離れの庭から空を見上げ、ふたりの妹を思った。

――元気でいるとは思うけど。

 その心配はあまりしていない。それでも巻き込まれる不安はある。日が沈みかけた空はふたりの上まで続いていると思っているせいか、朝はこの頃頻繁に空を見上げるようになった。

「あ、あの」

 不意に声をかけられた朝が食事を持ったまま振り返ると、裏門の門番の僧侶が膝に手をつきながら息を切らしていた。

「お、お客様に、お客様が、あの、い、いらしています」

 朝はその言葉を理解するのに、今度も少し時間がかかった。







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