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豆畑の外は世界の果て  作者: 大石安藤
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昼と夜は問いかける

 教えられることなどなにも無い。

 昼も夜も問われて答えられることもなく狼狽えてしまい、姉妹で言葉を無くして見つめあっていた時、ユアン・ラングラーは「それなら」と驚きの発言をした。

「僕と一緒にそこまで行くのはどう?」



「行動力、すごいよね」

 ユウノ・エンゲは呆れたような顔でラングラーを見上げた。ユウノ・エンゲは姉妹よりは背が高いが、ラングラーより頭ひとつ分は低い。

「行動力の問題ではないっ。非常識極まりないっ」

 リ・シャンイー教授はラングラーより若干低いが、全体的な幅は教授の方が大きい。そしてラングラーを案内してきた時から、ずっと怒っている。

「非常識ではあるけれど、ここでどうしましょうと言っていても仕方がないのは事実よね」

 カナイ・エンイ博士は姉妹とほぼ同じ背丈だ。言葉よりよほど険のある目でラングラーを見つめながら、部屋へと手を振った。

「とりあえず、中へどうぞ」

「ここは私の家だっ」

 リ・シャンイー教授はそう言うと昼と夜を扉の反対側のソファーに、カナイ・エンイ博士をその傍に、ユウノ・エンゲは何も言われなくても茶道具の支度を始めたので放って置き、客としてやってきたはずのユアン・ラングラーは、2番目に扉に近い椅子を押し付け、自身は扉を塞ぐように持ってきた小さな腰掛けにドンっと座った。客を用心しているのか追い出したいのかよくわからない。

「男前ですこと」

 どうやらワンソウ夫人はこの珍客がお気に召したらしく、今日は先に帰るとは言わずに茶菓子を持ってきたまま、教授の隣に居座っている。

「いやぁ、なんだか楽しい家ですねぇ」

 当の本人は涼しい顔で、長い脚を組んでにこにこと周囲を見回している。

 夜はユウノ・エンゲが、もちろんワンソウ夫人にも、お茶を配り終えたタイミングで口を開いた。

「そこまで、姉がいたと思われる国までご一緒に行かれたいというのは、本気なのでしょうか」

 昼が隣で息を呑んだ。

「僕はこう見えて冗談が嫌いなんだ」

 笑顔でそう言われて、「あらまぁ」と頬を染めたのはワンソウ夫人だけだった。



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