9.初の対面
※ブリアもキールも頭の中で考え事をしている時は前世のキャラクターの口調になります。
大広間に皇帝陛下、皇后様、皇太子殿下、ロナ王子殿下が入場された。
会場内の空気が一気に変わったのだ。
そして、皇帝達は立ち位置へと到着し会場内の人々へ皇帝が挨拶をした。
「本日は、足を運んで頂いた皆へ感謝する。この様な祝いの席に出席できた事嬉しく思う。どうぞ時間の許す限り楽しんで行ってくれ。」
皇帝が会場内の人々に挨拶すると会場内は湧き上がった。
そして、皇帝の挨拶が終わると同時に会場内に演奏が流れ始めた。
位の高い貴族から順々に皇帝達の元へ足を運び挨拶をしていく。
公爵家が挨拶を済ますと次は侯爵家の順番だ。
スペード侯爵家は皆揃い皇帝達の元へと足を向けた。
そして、皇帝達の元へ着き挨拶をしたのだ。
「皇帝陛下、皇后様、皇太子殿下、ロナ王子殿下、この度はこの様な祝いの席を設けて頂き誠に感謝致しております。ありがとうございます。」
ケビンが挨拶をする。
「スペード侯爵。久方ぶりだな。元気そうで何よりだ。此度はそなたの娘の社交会デビューであったな。噂には聞いていたがそなたが大事にしているだけの事はあるな。とても美しい令嬢だな。存分に祝の席を楽しむと良い。」
皇帝・カルは応えた。
「勿体ないお言葉です。」
ケビンが恐縮そうに応えた。
そして、ケビンに続きクレア、ローランド、クリス、アーサー、ブリアの順で挨拶をしたのだ。
皇帝と皇后への挨拶を終え皇太子と王子殿下へ挨拶を続けた。
そして、ブリアが皇太子と王子殿下に挨拶をする順が回ってきた。
「皇太子殿下、ならびに王子殿下。この度はありがとうございます。お初にお目にかかります、スペード侯爵家の長女のブリア・スペードにございます。」
ブリアはお辞儀をし丁寧に挨拶をした。
「ブリア嬢、この度は社交会デビューおめでとうございます。本日は夜会を楽しんでいって下さい。」
皇太子のロンは無敵の王子スマイルをしてブリアに言う。
誰が見ても完璧な容姿に完璧な笑顔、そして皇太子としての立ち振る舞い…
ロンの笑顔には令嬢だけではなく令息や大人ですら見惚れてしまう程のものなのだ…
しかし、ブリアはロンのそんな笑顔を見て違和感を感じてしまい思わずニコリとするのも忘れてロンの顔を何かを見透かしたような瞳でじっと見つめていた。
ブリアに見つめられても笑顔を崩さないロンだったがブリアは見逃さなかった。
一瞬、ロンの目がピクリと動いたことを。
(この皇太子、笑顔を作ってるけど目の奥が笑ってないじゃん。何でこんな不気味な笑顔してんだろう…こういう目が笑ってない人ってほとんどの確率で腹の中で何考えてんのかわかんないのよね。この皇太子は相当腹黒いとみた)
ブリアはかおり口調になりながら頭のの中でそんな事を考えていた。
そんな事を考えていたらロンの隣にいた王子殿下のロナがブリアに声をかけた。
「ブリア嬢?どうかなさいましたか?何か深刻そうな顔をされていますが…」
ロナがブリアの表情を見て心配そうに話しかけた。
「あっ…いえ…王子殿下…大丈夫にございます。王宮へ伺うのが初めてなものですから少し緊張が顔に出てしまったのかもしれません…ご心配ありがとうございます…」
ブリアはロナに声をかけられハッとなり慌てて何とか理由をつけて応えた。
(危なっ。私考えてた事が顔に出てたのね。気をつけなきゃ。今はかおりじゃなくてブリアなんだから…)
ブリアは脳内で自分に言い聞かせた。
「そうですか…それならいいのですが…改めましてブリア嬢社交会デビューおめでとうございます。本日はお楽しみ下さい。」
ロナは微笑みながらブリアへ言う。
「王子殿下ありがとうございます。」
ブリアはお辞儀をしてお礼を言った。
挨拶を済ませたスペード侯爵一家は一礼をしその場を後にした。
挨拶を済ませたブリアは少し疲れたのでという理由でケビン達に一声かけテラスへと向かった。
テラスには誰も居なかったのでブリアはホッとした。
テラスに出ると心地よい風が吹いていた。
(それにしても社交会って疲れるわ…気を使い笑顔振りまいてペコペコ頭下げて話をしての繰り返し…貴族って大変だわ…明後日から学園へ通うけど学園も気を使いまくりじゃないでしょうね…考えるだけでもしんどいわ……それにしてもあの皇太子の笑顔怖かったな。あれは相当腹黒いね。間違いないわ。何だか日本にいるあつしを思い出すなー。あつしもキラースマイル振りまいてたけど実際は相当腹黒いやつだったもんな…あの笑顔に何人の女の子が泣かされたのやら…その度にあつしに大説教喰らわしたっけなー。ふふふ…懐かしいな。でも、あつしのやつ本当に好きな女の子ができた事で変わったんだったな…皇太子もそんな子が出来たらかわるのかな…いや、ないな…それに皆あの笑顔に騙されてるもんな………学園が一緒でローランドお兄様とたか兄とは友達みたいだけどあたしが関わることはないと思うしまぁいいっか。とにかく今日はつかれたし早く帰りたいな…)
ブリアはテラスで風に当たりながらそんな事を考えていた。
そうこうしている内にブリアの社交会デビューは無事に終えられたのだった。