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8.アミル・ハート〜sideアミル〜

私はハート公爵家の次男であるアミル・ハートだ。


私には三歳年上の兄・キールがいる。


キールには妹の様に可愛がってっいる令嬢がいる。

キールの友達であるスペード侯爵家のローランド様の妹であるブリアという少女だった。


ブリアが十歳を過ぎた頃からよく公爵邸へ足を運ぶようになっていた。


アミルとブリアは同い年という事もありアミルはブリアを紹介された。

キールがブリアの事を可愛がっていたのは知っていたがブリアと会うのはこの日が初めてであった。


アミルはブリアを見て驚いていた。

ブリアは同い年だとは思えなくらいとても美しい少女だったのだ。

綺麗に輝く金髪に吸い込まれそうな程のエメラルドグリーンの瞳だった。


「アミル、紹介するね。こちらはスペード侯爵家のブリア嬢だよ。ブリア、この子は私の弟のアミルだ。君たちは同じ十歳だよ。アミルもブリアも仲良くしてあげてね。」


キールは笑顔で二人に言う。


「はい、キール様。アミル様お初にお目にかかりますスペード侯爵家のブリア・スペードと申します。以後、お見知りおきくださいませ。」


ブリアはお辞儀をしながらアミルに微笑みながら言った。


「初めまして…ブリア嬢。私はハート公爵家の次男のアミルと申す。よろしく頼む。」


アミルも軽く頭を下げ言う。


「ブリア、これから遊ぶ事があったらアミルも共に遊ばせてもよいだろうか?」


キールがブリアに尋ねる。


ブリアは少し考えながら「はい。」と返事をしたのであった。


この日を境にキール、アミル、ブリアは三人で公爵邸で遊ぶ事が増えたのであった。


ブリアはキールから護身術や剣術かぶれのようなものなどを教わっていたのだ。

まるで十歳とは思えないほどの覚えの早さでアミルは日々驚いていた。

令嬢ともあろうのに騎士みたいな事をしているかと思えば夢中になり読書をしたり、かと思えばお菓子を口いっぱいに入れてとても幸せそうな顔をする…

アミルはブリアのそんな姿を見ていつしかブリアに好意を抱いていたのだった。


数年経った頃には公爵家の息子であるアミルに敬語など使わず気楽に話をする程の仲になっていたのだ。


そして、時は流れアミルとブリアは十五歳を迎えていた。

二人は共に貴族学園へ入学する予定だった。

だが、入学前に王宮で社交会が開かれるのであった。


噂では社交会で皇太子殿下のお目にかかるチャンスがあるなどをアミルは耳にしていたのだ。

社交会当日、ハート公爵家に遅れてスペード侯爵家が大広間に入ってきた。


ブリアはその日誰もが振り向きそうなほどシンプルに着飾られていた。

アミルは思わず見入ってしまったほどだった。


ハート公爵家もスペード侯爵家も色々と挨拶回りを終え少し落ち着いたので飲み物でもと思ったアミルは大広間の角にある椅子へ腰掛けているブリアを見つけた。


アミルはブリアが他の令息に声などかけられはしないかと気が気じゃなくなりブリアが座っている場所へと足早に向かった。


そして、ブリアに話しかけたアミルはいつもの様なやり取りをしていた。


アミルは社交会の噂を耳にして以来気になっていたことがあったので思い切ってブリアに尋ねた。


「……ブリアも今日の社交会で皇太子殿下のお目通りして自分アピールして覚えておいてもらいたいと思っているのか……?」



アミルが少し複雑そうな表情で尋ねた。



「え?皇太子殿下に?そんな事少しも思ってないわ。わたくしは皇太子妃になりたいとも思っていないわ。殿下に気に入られたいと思う前に早く邸に戻りたいと思ってるくらいだもの。」



ブリアは少し眉を下げながら応えた。



「そうなのか?それは本当か?ブリアは殿下に気に入られたいと思っていないのか。そうか…」



アミルは心なしか微笑みながら安心した様な表情で言った。



「急に大きな声出さないでよ…本当よ。アミルったらそんな心配してるなんて。」


ブリアはそう言うとアミルを見てくすくすと笑いながら言う。


(良かった…ブリアは皇太子殿下に本当に興味がなさそうだな…他のご令嬢達は皇太子殿下のお出ましをまだかまだかとソワソワしているようなのに…ブリアが王族に興味がないのであればいつかは私がブリアを幸せにしてやりたいな…ブリアは私の事を友だとしか思っていない様だが今はそれで良いのだ…)


アミルはそんな事をブリアの横に座り考えていた。


(私は、いつも顔合わせば意地悪ばかり言ってしまうが本当はブリアの事が好きなのに…

どうしたら私は素直になれるのであろうか…)


アミルは自分は素直になりたいと日々思っていたのであった…



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