4.兄達の思い
馬車の中で思い切りないたブリアは泣き腫らした顔でローランド達の元へ戻るわけにもいかなかったのでキールから本を受け取りそのまま部屋へ読書しに行ったという事にしたのであった。
「ローランド達へは俺が上手く言っておくから。かおはゆっくり部屋で休みな。これからは二人のときは俺もたかしの時のように話すからかおもかおの時のように話すといいさ。その方がお互い楽だろ?気軽に公爵邸にも遊びに来い。俺が話を通しとくから。時間がある時は昔見たいに遊ぼう。普段は貴族としてちゃんと振る舞わないといけないけどな。」
キールがブリアにそう告げた。
「うん。ありがとう。たか兄。何だか昔に戻ったみたいで嬉しい。私ブリアになってもかおりの時みたいに勉強と運動神経の良さは同じみたいだから身体を動かす遊びも大歓迎よ。普段はローランド兄達と少し戯れる程度だからつまらなかったんだよね。」
ブリアがキールに言う。
「そうなのか?かおは令嬢になっても変わらず男勝りだな。ハハハ…じゃぁ、あまり遅くなるといけないからローランド達のところへ戻るよ。」
キールが言う。
「OK。兄達への誤魔化しお願いね。」
ブリアはそう言うと本を持ち自室へと向かった。
キールはローランド達のところへ戻った。
「あれ?ブリアは?」
ローランドが一人で戻ってきたキールに尋ねた。
「ブリアは私が渡した本を今すぐ読みたいと言って自室へと先に戻ると言って行ってしまったんだよ。」
キールは微笑みながら応えた。
「ハハハ…ブリアらしいね。幼い頃から本を読むのが好きだからね。」
ローランドが応えた。
「ハハハ…本当に、本を読みだしたら人の話聞こえてないんだから…」
アーサーも言う。
「ハハハ…まったくだ…しかし、ブリアは幼い頃から聡明な子だから本も何冊あってもすぐ読み終わってしまうだろうね…学園に入学するまでの五年のうちにどれだけ賢くなる事やら…」
ローランドが言う。
「そうだね。私達より三つも年下とは思えないほどだからね。三年早く私達が学園へ入学するからブリアの入学が楽しみになるね。」
キールも言う。
「学園へ入学してきたらまずはブリアに悪い虫がつかない様に用心しとかないな。」
ローランドが眉をひそめながら言う。
「そうだね…ブリアが入学する頃には私達兄弟が三人とも学園にいるから用心もそれなりに出来そうだからね…」
クリスも眉をひそめながら言う。
「キールも目を細めて用心しといてくれよ。」
ローランドがキールにも言う。
「本当に、君たちは兄弟はブリア大好きだよね。気持ちはわかるけどね。私も用心して周りを見ておくよ。私もブリアには幸せになってもらいたいから悪い虫がつくのは嫌だからね…」
キールも眉をひそめながら言う。
「皇太子であるロンは警戒しなくても大丈夫だろうね。ロンは昔からニコニコ笑顔でいるのに腹黒いから。貴族の令嬢を嫌がってるからね。ブリアが目をつけられる事はないだろうね。」
ローランドが言う。
「そうだね…ロンに関しては警戒の必要はなさそうだね…ロンに関しては私達の方がきっと大変だからね…ハハハ…」
キールは苦笑いしながら言う。
「確かにな…ロンは日に日に笑顔の目が笑わなくなってる気がするからな…ロンの愚痴をまた聞いてやるか。」
ローランドも苦笑いしながら言う。
ローランドとキールは皇太子であるロン・ヴァル・ダイアとは友達関係だったのだ。
皇太子が気を許している数少ない者だった。
庭で兄達がその様な話をしている事など知らないブリアは自室へと戻りキールの前世がたかしだったことの喜びに浸っていたのだった…
(キール様がたか兄だったなんて…こんな奇跡が起こるなんて…もう二度と会いたいのに会えないと思っていた私が一番尊敬している兄貴分。これからも近くに居てくれるだけで私は嬉しいわ。この世界でもたか兄の意思を貫ける気がしてきたわ。)
ブリアはそんな事を考えながらたかしとの再会の余韻に浸っていたのだった…
その日から二年の月日が経った…
ブリアは十二歳
クリスは十三歳
アーサーは十四歳
皇太子であるロン、ローランド、キールは十五歳
になっていた。