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魔王少年の異世界物語  作者: 天之ヒガシ
学生ドラン
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第18話 六本の武器

 そのまま俺は家まで帰り、軽く準備をして武器屋へ行く支度をしていた。そこにスタンは何も違和感なく入ってきた。


 「別に良いのだが、よくこんなすんなり違和感なく入ってきたな」


 「あ、そう言えば、なんか当たり前のように考えてました……すみません」


 なるほど、なんでもかんでも当たり前として行動すれば違和感を無くせるのか? それなら便利なわざだな。


 「俺は今から武器を見に行ってくるのだがお前は来るか?」


 「よろしければ自分も同行します」


 ならば二人で行くことにしよう。最近キャロンと居るよりもこいつと居る方が多くなったな、最近キャロンの鍛錬もしてないし、だが今はそれで良い。目的を達成させるまでは。


 「じゃあ行くか」


 そのまま俺とスタンは家を出た。少し歩き武器屋まで来た。


 「らっしゃい! お、その制服はこの辺の戦闘訓練学校の生徒だね! どんな武器を所望だい?」


 「それじゃあ、短剣二本とナイフ一本、それと剣と大剣と刀を一本ずつで」


 「え? そんなにかい、じゃあ手の大きさをはかった後に素材を選んでくれ、素材とサイズによって代金は変わるからな」


 カウンターで手の大きさをはかり、そのあと素材を選んだ、素材は全てシルフィーに任せたが。その大きさと素材の代金を払い手続きは完了した。


 「六本なら一週間ほど待ってくれ。そしたらもう一度ここに取りに来てくれれば出来た武器を渡すからよ!」


 「あぁ、待ってる」


 一週間後か、それまでは根源を破壊することは無理そうだな。


 「夜飯はこの辺の商店街で適当に食ってから帰ろうか」


 「そうしましょう」


 スタンと俺は商店街に入り、俺は迷わず肉の串焼きを買いに行った。


 「いらっしゃい! お、久しぶりだな訓練学校の兄ちゃんよ、今日は新しい友達と来たのか!」


 「初めまして、スタン・インゼルフです。せっかくなので自分もここで買ってきましょうかね」


 二人で六本買って家に帰ろうとした。結構サイズ大きいから二人なら三本で十分なのだ。なのにキャロンと言ったときは二人で十本買わされるのだからあいつは異常なのだ。


 「これ美味しいですね!」


 「あぁ、お前と知り合う前にペアの奴と来たんだが、美味かったんだ」


 と肉の串焼きの感想を言い合いながら家に帰った。


 「そう言えばスタン、お前は自分の家には帰らないのか?」


 「はい、自分も一人暮らしですので」


 「いや、それは知っている。そのうえで聞いていたのだが」


 「特に変える必要がないので帰らないだけで帰るべき時は帰りますよ」


 「そうか、まぁ好きにしろ」


 とにかく今日はすることがない。もう寝よう。今度の二日間の休日は一日はキャロンの指導に行ってやろうかなどと考えながら眠った。俺も他人に関わることが多くなったな。 今日はもう寝ることにした、興味本位で注文した六本武器もどのような状況で使うかを考えながら眠った。


 翌日からは普通に学校に通った。学院長は行方不明、そして宣戦布告の話は何もされなかった。そしてシアは今日は休みらしい。

 そして休日の一日前、キャロンに聞いた。


 「おい、明日は休日だが訓練するか? 最近できていなかったが」


 「いえ、休日は私の家は使えません……なので遠慮しておきます」


 「そうか、なら良い」


 休日の予定は丸々空いた。ならその日に軽く調べものをしよう。もう一日はシルフィーの具現化の特訓と魔法の練習をしよう。その日はすぐに終わった。そのあとにエミールに聞きに行った。


 「なぁエミール、偽学院長がほざいていた宣戦布告とやらはどうなったんだ? 全てを隠すことにでもしたのか」


 「宣戦布告って何の話ですか?」


 とぼけているのか? それとも本当に頭の中にないのか、もし本当に知らないのなら原因はネークとかいう魔族が何かしたのだろう。


 「いや、何でもない、本当に知らないんだよな?」


 「う、うん……本当に何も分からないよ?」


 これは本当に分かってないようだ。ならまた今度キャロンとスタンにも確認してみよう。


 「なら良いんだ忘れてくれ、俺はもう帰る」


 「あ、うん、また来週」


 いつも通りの学校だと思っていたのにまた一つ不思議なことが増えた一日になってしまった。いや、もしかしたらこれが普通なのかもしれない。こんな生活に慣れたくなかったな。そう悩みながら家に帰った。だが家に帰るといつも通りと言った風にスタンが座っていた。


 「あ! おかえりなさい!」


 「あぁ、お前に確認したい事があるんだ。偽学院長の宣戦布告を覚えているか?」


 「へ? 偽学院長と宣戦布告? すみません分かりません……」


 スタンまで忘れているのか。ならば


 ――シルフィー、お前は覚えているか?みんな忘れているようだが


 ――あったりまえじゃない! 私に記憶消去の術は聞かないわ! それにあなたの中にいるんだからあなたが受けていないなら私が受けてるわけないじゃん!


 それもそうか。だが一人だけでも覚えている奴がいるのは話が出来て良いことだ。


 「スタン気にするな、忘れてくれ」


 「そうですか……ドランさんがそう言うのなら」


 「今日はもういい、明日は調べものをして、明後日に魔法の練習や具現化の特訓をする、お前は自由にしろ」


 「なら自分はドランさんについていきます」


 こいつはいつも通りだな、二年トップの成績のやつが一年にペコペコするのは正直周りには見せてはいけないと思った。その日の後は特に何もすることなく眠った。


 朝起きてから気が付いた。俺が調べたい事なんて普通の図書館においてある本で調べられるはずないという事に。なら予定を急遽変更だ。俺は今日精霊について色々調べ、具現化の特訓もする。


 「スタン、今日は予定を変更して精霊について調べた後、具現化の特訓をすることにした」


 「そうですか、なら最初は図書館ですかね?」


 「そうだな、本来調べたかったものが流れで見つかってくれればいいのだがそんなことは無いだろうしな。では行こう」


 俺は図書館の場所を知らなかったのでスタンに場所を聞いた。その時スタンには「秘密書庫の場所を知っているのに一般の図書館の場所は知らないのですか」と呆れ気味に言われた。


 「着きましたよ」


 なかなかでかい建物だな、図書館とはこんなにも大きいものなのか。


 「入るぞ、まずは精霊についての本が置いてあるエリアを探すところからだ」


 精霊の本のエリアを探すのにも時間がかかるとも思っていたが、分かりやすく天井に掛け札がぶら下がっていた。


 「探す必要はないようだな。精霊エリアはあそこの様だ」


 そこに向かい、役に立ちそうな本がないか五分程探しているとなかなか気になる本を見つけた。近くの椅子に座りその本を読んだがかなりためになった。ついでにおまけと言う感じに手に入れた情報は、具現化には魔力を使わないと言う情報だろう。おまけと言うがなかなか役に立つ情報だった。その後はスタンも調べたいものがあると言っていたのでそれにも付き合い、ひと段落ついたところで図書館を出た。


 「次は精霊の具現化の特訓をしたいのだが、良い場所はあるか? 人目につきにくいが、明るい場所が良い」


 「それなら良い場所があります」


 スタンに良い場所があると言われ連れられてきた場所は本当に良い場所だった。風通しも良く外なので明るい。そして少なくとも今は人はいない、坂の上の広場だ。


 「良い場所だ、良く知っていたなこんな場所」


 「まぁ坂の上なのであまり来ないんですけどね」


 ――シルフィー、具現化のコツとかあるのか?


 ――へ? そんな事知らないけど? 具現化って一回出来たらその人は簡単に出来る用になるからコツとかは把握してないんだ、とりあえず私の事を意識しながら具現化したい場所に魔力を集中させれば出来るんじゃないかな?


 魔力は使わないんじゃないのか?とも思ったが今は聞かないでおこう。とにかくシルフィーに言われた通りにまずは手のひらに集中してみた。


 「なんか精霊じゃなくて小さな白い玉みたいなのが出てきたんだが?」


 ――それは魔力の塊のようなものだよ! 大きさや色によってその人の魔力の強さが分かるんだ! ちなみに小さい白は相当弱いんだ。あなた本当に自分の魔力弱いのね……でもその塊が出てきたという事はうまく魔力を集中させられている、という証拠だよ! だから後はひたすら特訓するだけだ!


 これ一回やるだけ結構疲れるのに何度もやるのか……だが早めに出来る用にしておきたいため一応頑張った。

 その日は一日やってたが結局できなかった。翌日の事もあるのですぐに帰って休んだ。次の日はスタンは自分のやりたい事が出来たと言っていたので一人で魔法練習をしたが昨日の疲れが残っているせいか全然うまく発動できなかった。精霊にほとんど頼っていると言っても全てではない。大きさは小さくとも魔法の土台のようなものは自分の魔力で作っているのだ。土台がだめなら全てが崩れてしまうため、精霊に全て任せることは出来ないのだ。


 ――今日はもう帰って休みなよ? 昨日頑張りすぎて疲れてるんだから、無理しちゃだめだよ!


 ――なら今日は帰ることにしよう。そして今日はずっとだらけることにする。


 魔力の塊と言うだけあって出すだけでなかなか疲れる。昼だが帰ってすぐに寝た。

 次起きたらまさかの次の日だった。この日からはなかなか疲労が取れずにだるい体を動かし学校へ通った。


 数日後、疲れはかなり取れたがあまり過度な運動はしたくない。だが今日は武器を取りに行く日だから歩いて取りに行く、スタンも付いてきた。


 「へいらっしゃい! お? この間のお二人さんかぁ。ほれ注文されてた短剣二本とナイフと刀と剣と大剣の計六本だ! お代はこの前貰ったからそのまま持ち帰ってオーケーだ! また何か欲しいのがあったら来いよ!」


 外に出た俺は短剣二本を腰に着け、残りの四本を収納庫にしまった。これでいつでも使えるし、前考えた通りの装備になった。


 「短剣と剣の使い時はあるかもしれませんが他の三本はいつ使うんですか? 特にナイフなんか買う必要なかったんじゃ……」


 「気にするな、短剣と剣以外はおまけだ。買うつもりなかったがせっかくと思って買ってしまった。念のため、とかもしかしたら使うかもとかいうその時の感情だったんだ」


 「なるほど、不測の事態に備えたという事ですね! 収納庫に入れておけばいつでも使えますしね!」


 スタン、悪いが嘘だ。ただの興味本位なんだ。いつか使えたら良いなぁと思っているだけなのだ、そんな大層な理由があるはずないだろ。と心の中で思ったが勿論口には出さなかった。

 思念通信→心中会話 に変更

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