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魔王少年の異世界物語  作者: 天之ヒガシ
学生ドラン
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第16話 夜の学院

 「…………まさか本当にここまで寝てしまうとはな」


 ――あ! おはよう? ドラン君! もう夜中の10時だよ!


 まじか、まじでこんな夜中まで寝てたのか。キャロンには起こすなとは言ったけど起こさず帰るとは約束事には忠実な奴なんだな。親はいないから気にすことはない。


 「起きましたか」


 「……なんでいるんだよ、いくら何でもまずいだろ帰れ」


 こんな夜中なのにまさかスタンがいた、悪気はないのだろうけどこいつの事をコワいと感じた。


 「まぁ良い、帰るぞ」


 夜中の学校で起きてすぐスタンに喋りかけられるという意味の分からない事を経験したので満足した。そのまま帰ろうともしたが何やらすぐには帰れないようだ。


 「待て、スタン他に誰かいるか? この建物の中に」


 「いえ、自分は知らないです。もしかしたら……」


 「帰る前に軽く探してみていいか?」


 「自分も手伝います。これでも二年生トップですから」


 そうだった、こいつこんなんだけど二年トップなんだった。俺と会う前まではどんな性格だったのか少し気になる。今度こっそりこいつの授業の時のぞいてみようか。


 ――なぁシルフィー俺とこいつって心中会話って出来るのか?


 ――多分ドラン君には出来ないと思う。私を具現化してくれれば強制的に繋げる事が出来るけど具現化出来るようにするのは大変だからね、また今度にした方が良いかも


 攻撃魔法だけではなく具現化の特訓もしなければいけないのか、だが心中会話は出来る用にしておきたいのでまた今度やってみよう。


 「とりあえず敵かどうかは分からない。だが敵の可能性もあるから相手にはばれないようにしろ、たとえ知り合いだったとしても。俺も別行動で探してみる」


 「はい、了解です」


 スタンは音を立てないように素早く教室を出て行き1-Bクラスの教室の方に走っていった。そのまま俺も教室を出て隣の教室の1-D クラスに行き教室に入った。そこにはやっぱり人がいたそして意外とも思えるし、居てもおかしくないと思える奴がいた。精霊試練で俺が準決勝で戦った一年、名前は覚えていない。


 「名前何だっけか、それとお前こんな時間に何やってんだ?」


 「俺の名前はユージ・グロール。特に何かをしていたわけではない、お前は今何かを探ろうとしているそうだが、今はまだお前の両親の件は探らないでおいた方が良い」


 「……何故お前がそれを知っている? その件は俺と俺のペア、そして俺の仲間(?)と実行犯しか知らないはずだが、だがお前は実行犯ではないな?」


 「お前の仲間ってのが誰だかは知らん、それに俺は実行犯ではない」


 こいつは確実に何か知っている、だが今は絡まないでおこう。


 「それとその質問は俺も聞きたいんだが、お前の名前とここで何をしていたか」


 「あんたは俺の名前を知っているはずだが? 勝った時にでかい音で名前言われたからな。それとここにいるのは授業中に寝ちまって、今までずっと寝てたってだけだ。気にするな」


 暗くて顔の変化を読み取るのは難しかったが何となく呆れられているような気がした、失礼な奴だ。


 「じゃあ俺はこれで帰らせてもらう。明日の事は俺も少し気になるからお互い気を付けよう」


 そのままユージは窓から出て行った。そのあとはスタンを誤魔化そうか考えるつもりだったがユージが出て行って数秒後にスタンが教室に入ってきた。やれやれ、わざと遠ざけたのはばれていたか。


 「気付いていたんだな、俺がわざとお前を遠ざけたのを」


 「はい。隣の教室に人がいるのを知ってて自分と別行動をすると言った時点で、ですが盗み聞ぎはしていません」


 「いや、話を聞いてほしくなかったわけではない。一緒にいない方が良いと思っただけだ」


 スタンは話を聞いていなかったようなので簡潔に会話の内容をスタンにも話した。内容を振り返っていたがこの状況はユージにも俺にも都合が良すぎた。ユージが本当にスタンが俺の仲間(?)というのを知らないのであれば、の話だが。


 「1-Dクラスのユージは明日の集まりでもマークしておきましょう。ですが彼の言っている事は本当なんですか?」


 「全てが本当かどうかは分からない。だが実行犯ではない。あいつが黒幕という可能性が0とは言い切れないが可能性は低いだろう、事情や起こったことを知っている程度だろうな」


 「そうですか。そう言えば一つ聞きたいのですが、何故あの者たちはドランさんが出かけている途中に襲ってきたのでしょう? 偶然ではないですよね?」


 そう、そこなのだ。俺が精霊試練の資格を得たのは大勢が知っている事だが俺がすぐに精霊試練に挑みに行くとは誰にも、両親にすら言っていなかったのだ。普通は数年後など時間を置くのが普通なのだから妙に感じる。シルフィーがスタンが怪しくないと言っているのでスタンは無関係。なら一体誰がどのようにその情報を掴んだのかが気になる。もしかしたら試練に向かう俺をたまたま見かけたという可能性もあるが、あんな早い時間にたまたまは無いはずだ、俺を見張っていたことになる。それならば何故あの何でもない時期に俺を見張ってたのかという疑問も出てくる。 恐らくこれはどれだけ考えても分からない事のように思い考えるのをやめた。


 「いいや、とりあえず今度こそ帰る。スタンは自分の家と俺の家どっちにくるんだ?」


 「良いのであればドランさんの家に行ってもよろしいでしょうか」


 「分かった、というよりもいい判断だと思う。学校以外ではお前は危ないかもしれないからな、俺と行動している事が敵に知られているかもしれない」


 そんなこと言って帰りに敵に見つかって知られたら意味ないけどな。とか考えて家に帰った。家に着きドアを開けると目の前にキャロンがいた。


 「なんでお前がここにいるんだ? もうそろそろ11時何だが」


 「お話がありまして来ました。それと……そちらの方は誰ですか?」


 スタンはキャロンを見つけて初めて一緒にいるのを見て不思議に思ったことだろう。


 「あぁこいつか、気にするな客だ。とりあえず中に入れてくれ、というかここは俺の家だ」


 何故か俺が入れてくれと言い家の中に入った。灯りをつけ椅子に三人で座った。そこから話が始まった。


 「ドランさんはこんな時間まで何をしていたんですか?」


 「学校で寝てた」


 「隣の方は誰なのですか?」


 「客だ気にするな」


 「両親の客ですか?」


 「そうだが何か不思議か?」


 「いえ、そういうわけでありません。ただこんな時間にお客が来るのですね」


 「それはあんたも同じだろう」


 「ドランさんは明日の集まりをどうするのですか?」


 「どうもしないさ」


 ……いつまで続くのだろうか? それにこのやり取りを聞いているスタンが不思議だと言う様な表情をしている。シルフィーはこの状況で何も口を出してこない。


 「なぁいつまでこんな意味のない事をしなきゃいけないんだ?」


 「へ?」


 「俺はさっき何をしに来たんだと聞いたよな?」


 かなり強く言ったのに怯む気配すらない。


 「だから、先ほど言ったとおり、お話に来たんです」


 「そうか……なら良い………………(グシャッッ)」


 キャロンが答えてすぐ、俺はそいつの左肩を握りつぶした。


 「ドランさん!? いきなりどうしたんですか!?」


 「うっっっ!! ドランさん、何をするのですか!?」


 スタンが疑問をぶつけてくるのと同時にキャロンが悲鳴を上げた。


 「お前はキャロンじゃないだろ」


 「なにを…………(グキッッ)……」


 そのままキャロン、の姿をした何かを殺した。


 「えっと、ドランさん。この子は昼間に言っていたドランさんのペアではないんですか? 殺すのは……」


 「こいつはキャロンの姿をしているだけだ。これが人間か、魔族か、他の何かか、殺しちまった以上これが何なのかを知る術は俺にはない。だが間違いなくこれは敵だ」


 まさか直接乗り込んでくるとは思わなかった、だが殺さない方が良かったと殺してから思った。なぜならこいつがどの事件の刺客か分からないからだ。両親の件か、学院長の件か、または新しい件が俺らに降りかかってくるのか、知っておいた方が良かったな。敵を殺すのは今度から利用価値が無くなってからにしよう。俺とスタンはすぐに死体の掃除に取り掛かろうとしたが、いつの間にか死体は無くなってた。死体どころか血痕すら残っていない。


 「ちっ、また面倒ごとが増えちまった。いっそ一気にまとめて終わらせてやりたい。おいスタン、俺は今から学院の秘密書庫に侵入して色々調べてくる。お前はついてきてもいいしここに居ても良いがどうするんだ?」


 「自分も付いていきます。それと、そんなに簡単にサラッと学院の秘密書庫に侵入するって言われたので違和感持てませんでした……アハハ」


 「俺についてくるんなら常識は通用しないからな、そこは我慢しろ」


 「ま、そんなことはもともと知っていましたけどね! では行きましょう!」


 「あぁ、では行くかもしかしたら寝れないかもしれないが覚悟しろ」


 すぐに寝る予定だったが今夜は寝れないかもしれない。だが今までの面倒ごとを一気に片付けたい、もうめんどくさい。だから明日の集まりまでに調べて結果を見つけ出す。と決心をし家を二人で速攻で飛び出していった。

 走って学院に向かい、門を飛び越え、学院の校舎の入り口のドアについているガラスを端から全てきれいに取り外した、割ると音が出るのでガラスを取り外すのだ。最小限に穴をあけるなんてちまちました作業はしたくない。そして侵入に役立つ魔法や魔術なんざ使えない、これは俺の力不足だが。校舎に入ってから、いくつもの隠し扉をくぐり最後の扉に入り階段をおりていった。おりた先には教室の三分の一ほどの広さの空間があった。


 「ドランさんはこんな場所よく知っていましたね、普通誰も知りませんよ……」


 「俺が普通ではなかっただけだ、それより早く行くぞ。内容は禁忌魔術について、魔族について、あと一応魔王化について、だ。気になる記述があったら教えてくれ」


 「了解です」


 そのまま各自学院の秘密書庫の本をあさっていった。

 今は午前四時あれから五時間近く本をあさっていた、。そのあとは二人の得た情報を共有していた。分かった情報をまとめるとこうだ。


 ・魔王化したらそのものの適正の魔王のみが使える魔法や魔術が使えるようになる。


 ・禁忌魔術は魔王の魔術の一部に含まれる。


 ・魔族は人間よりも平均魔力量が多く魔法技術が優れている。


 なかなか良い情報が手に入った。だがこれで俺の未来は確定した、スタンも喜ぶだろう。


 「スタン喜べ、お前が俺に近づいた意味があったようだ。俺は魔王化を目指す」


 スタンは喜ぶと思ったが、微妙な表情をしていた。


 「喜んでいいんだぞ? 俺が魔王化したらお前の望んでた事もしてやるから」


 「それは嬉しいですが、ドランさんの両親の件もありますし……」


 「そうか、まぁ気にするな。それに魔王化しただけで人が変わることもないしな。何度も言っているが俺の中の魔王は称号としか思っないしな。あとは専用魔法が使えるようになったり強くなるくらいだろうな」


 「は、はい」


 「とにかく戻ろう、そろそろ明け方だ。秘密書庫の場所は知っているが学校の人の流れ何か知らないからな」


 「そうですね、あー言った話はまた後でにしましょう」


 とにかく急いでここから出ることにした。もし明け方の学校にいる事がばれたら俺たちがガラスをくりぬいたこともばれてしまう、そんなめんどうな事にはしたくない。すぐさま来た道を戻り、さっき切り抜いたガラスの場所を出て行った。まだ外は明るくなっていないので見つかる心配は少ないが、念のため警戒しながら進んでいった。そのまま家に着くまでダッシュしていったが一般人含め誰とも会う事はなかった。どうやら警戒しすぎだったようだ。そのあとはすぐ家に入り座った。


 「ふぅ、誰とも会わなかったな。警戒損だった」


 「でも、警戒しないで関係者に見つかるよりかはよっぽどいいと思います」


 「そうだな。あとはさっきの話の続きを少ししてから少しは寝よう。まずはお前はあの貴族とやらに復讐する、だったよな。そのために一種の王である魔王の素質と言うものを持つ俺に近づいた。俺は今までお前を利用してたからな、その礼と言うか何と言うか、まぁそいつらから何もかもを奪い去ってやるよ。そのあとはお前の自由だ好きにしろ」


 「自分は魔王について行っても良いでしょうか? 理由はいくつかありまして、自分のための理由もあるのですけど……」


 「そうか、好きにしろ。俺はそういったはずだ。お前が付いてくるって言うのならそれでいい。だが俺魔王になったら何すればいいんだ? それは良く分からないぞ? 人間の敵にも魔族の敵にもなるつもりはないからな……喧嘩を売ってきたやつの敵になる、それだけだ」


 「それでいいと思いますよ? 人類の魔王化の記録は無いですので、今も健在の魔族の魔王が喧嘩を売ってくる事もあるかもしれません」


 「そうか、だが魔王化するのだから覚悟はしている」


 「そうですか、覚悟しているのなら……」


 「ま、てなわけで今日は寝よう。俺は明日、というか今日の集まりで暴れる予定だからな」


 「暴れるんですか、自分が動いた方が良いときは言って下さい! 準備してますので」


 「あぁ、そうさせてもらうさ」 


 スタンに聞きたい事も聞けたので今日は寝る事とした。

 寝てから四時間後、まだ眠気も取れていないが学校へ向かわなければいけない。スタンはまだ寝ていたが一応起こした。スタンはすぐに起きてくれたので物騒なことをしなくて済んだ。


 「起きたか、そろそろ学校が始まるころだ。集まりは午後だから一応覚えておけ、8人固まっていくと思うのでな」


 「分かりました。極力ドランさんとは無関係と言うふうに察します」


 というように午後の集まりの打ち合わせをしたあと、学校へ向かって行った。

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