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魔王少年の異世界物語  作者: 天之ヒガシ
学生ドラン
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第13話 事件

 俺が家に向かってる際、聞いておかなければと思った事をシルフィーに聞いてみた。


 ――そういえばシルフぃー、お前の精霊固有魔法ってなんなんだ? 俺が使って良いのなら教えて欲しいのだが


 ――あぁ〜、教えるの忘れてた! 僕の固有魔法は特殊でね他の精霊にも類似した魔法を持ってる子すらいないんだ! でね、私の精霊固有魔法は……収納庫魔法って言うんだ! 異次元に物を溜め込むことが出来るからほぼ無限に様々なものを収納する魔法! 発動を念じながら宙に手を突っ込めば収納できるし、取り出したいものを念じて手を突っ込めばそれを取り出せる! あっ当然だけど収納庫に入っていない物は取り出せないよ!


 流石は特別体精霊と言ったところか、凄い使える固有魔法を持っているではないか。これはかなり便利になる、シルフィーに感謝しておこう。そんなことを考えていると見覚えのある者も混じった四人組と早足ですれ違った。うち三人はすれ違う際にチラチラと何度かのちらを見てきた。


 (たしかあれは、この前骨を折った奴とその右にいた奴。そしてあの女性は、どっかで見た…… もう一人はフードで分からなかった。)


 二人は認知できなかったが、俺を知っているから見てきただけで話しかけてくるわけでも、ちょっかいをかけて来るわけでもなくすれ違っただけなので気にはしない、つもりだったが、


 ――なんかさっきの人たち、嫌な感じがした……


 シルフィーが言ってきた。俺にはあまり感じなかったが、だが精霊がそう思っているのなら一応考えておこう。 それはそうと俺は聞きたい事、と言うか聞いておかなければならない事を聞いた。


 ――そういや精霊って食事とかはするのか?


 ――具現化している時は食べるけど、してないときは食べる必要ないんだ。言い方は悪いけど寄生みたいな感じだし!


 本当に言い方悪いな、だがそうなったのなら精霊の分も栄養摂らなきゃいけないって事なのか? 早めに具現化できるようにしてやろう。そのまま家のドアの前に立った、その時に感じた。


 ――ドランくん、なんか嫌だよ……


 (嫌な感じがする)


 精霊と同時に感じた。だが考えてもなにも進まないのでドアを開けた。


 「……んだよ、これ」


 ――ねぇなにここ、あなたの家なんだよね? 二人倒れてるよ? もう一人は、回復魔法使ってる?


 扉を開けるとそこには血を流して倒れている両親がいた。その二人にボロボロになりながらも回復魔法をかけるスタン。部屋のあちこちに赤い点々がある。部屋は荒れている。正直言って地獄絵図。


 ――ねぇドラン君、これはどういう状況なの? 怖いよ……


 とにかく混乱するだけではだめだ、一応スタンは大丈夫だろうか、精霊にはそういうのは分かるだろう。


 「おいスタン、この状況を教えてくれるか?」


 「あ、ドランさん帰ったのですか。それは……」


 そのまま色々と聞いた。明け方ごろに四人組が家に入ってきて暴れだしたらしい。皆顔を隠していて誰かは分からない。いきなり俺の両親に襲い掛かった。一人は女性っぽくて三人は男っぽい。


 「なにが目的かは知りません。がなにも考えずに襲う事だけを考えているように見えました」


 ――ドラン君、この人嘘ついてないと思う。というかこの人あなたに凄い忠実じゃない?


 ――じゃあこいつの話を信じて行動する。それとこいつは一個上だ忠実かどうかは知らんかったが


 とにかくスタンもボロボロだったのでさっきと同じように回復魔法を使ってやった。まだ慣れていないのでここまでの怪我は全部直りはしなかった。


 「あれ? ドランさん、魔法使えましたっけ?」


 「あぁ、使うのは今日初めてでこれで二回目だ。さっきまで精霊試練やってきて契約完了したからこれからは魔法を使えるようになる」


 「え……この間試練の資格取ったばっかじゃないですか。あなたは本当にとんでもない事をするのですね……それはそうとご両親はどうします? 回復魔法を限界まで使ったけどこれが限界でした……もしかしたら、もう……」


 「死ぬってか?」


 「……はい……」


 スタンは涙を流しながら言った。ここ数日仲良くしてたのか。でも俺は蘇生の方法を知っている、というか知ってはいけない事を知ってしまった。だがそのためには、


 「そうか、なら今すぐ殺そう」


 「……え? なにを、というか何故?」


 ――え?ドラン君ちょっと待って何言いだすの?


 スタンとシルフィーが同時に驚いた声を発した。


 「俺は知っている。まず正確には殺すわけではないがな。二人の肉体の中から魂と根源を取り出して、俺の契約した精霊の精霊固有魔法の収納庫魔法の中に入れておく。そして禁忌魔術とされている蘇生魔術を使える用になったらその根源と魂を使って蘇生させる。だが蘇生魔術を使えるようにする条件から調べなきゃいけないがな」


 ――ちょっとドラン君? なんて事考えるのよ! 禁忌魔術の方法なんて私も知らないんだからね? それどころか禁忌魔術なんて都市伝説とまで言われてるんだよ?


 「そんな事可能なのですか? 禁忌魔術は実在するかも分からないのですよ」


「そんなのは知っている、だが可能性があるんだからやってみる。両親は絶対殺させたくない、そう思ってるからな」


 「そうですか、自分もお手伝いします。あとは犯人捜しですが、そちらはどうしますか?」


 「その四人組の犯人というのには心当たりがある。証拠がないから何もできないから決定的な証拠を見つけてそのあとに」


 「そのあとに?」


 「殺す」


 そう決めた。誰になんて言われようと変えない。両親を殺そうとしたんだ。生きてても死んでても犯人は殺す。


 「とりあえず今は両親の魂と根源を回収する。肉体は念のため氷結魔法で冷凍保存しておく。お前は氷結魔法を使えるか? 俺は一度も使った事がないから使えるかわからない」


 「はい。自分は使えます」


 「そうか、なら合図したら二人の肉体を凍らせろ」


 ――ドラン君、凄そうな人とは知ってたけどとんでもない事考えるわね


 俺が考えている事は精霊すらも驚く事だったらしい。


 「では始める。成功するかどうかは知らんがやってみる」


 ――おいシルフィー、捕獲魔法か捕縛魔法って出来るのか? それで魂と根源捕まえられるか?


 ――可能だよ? だけど魂や根源を捕らえる事が出来るかは難しい。念のため結界張って魂と根源が逃げないようにした方が良いかも。結界くらいなら具現化してない状態でも私が使えるよ


 ――分かった。なら頼むぶっつけ本番でやる何もしないまま死んでたら魂も根源回収できないからな。俺は手段は選ばない


 そうシルフィーに伝え、魂回収を始めた。シルフィーに結界を張ってもらい、俺はついに……父親を殺した、。そのまま父親の体内に捕縛魔法を連続でいくつも使った。魂だけを取り除いて根源だけにしてしまったら化け物化してしまうので先に根源を抜き取る。根源を捕まえたらすぐに収納庫を開きそこに収納した。そのあとは同じように魂も抜き取った。


 「スタン今だ、氷結を」


 合図をするとうまい事がなくきれいに凍った。その体を収納庫にしまった。成功だ。俺は母親にも同じ事をし作業を完了させた。


 ――あなたってとんでもない事するんだね……こんな事出来るんだね


 「なに、他の人間と自力が違うんだ、何とかなったそれでいい。後は犯人をぶっ潰す」


 「お手伝いします」


 「スタン、ありがとうな。俺両親を守ってくれたんだろ」


 「へ? は、はい!」


 スタンが驚いていた。お礼を言ったからだろうか? 俺だってお礼くらいはするさ。


 「これからお前は俺についてくるのか? 恐らくこの件はあの四人組の後ろになにか違う思惑があるのだろう」


 「自分は最初からついていくと言ってましたよ」


 「そうか、物好きのようだが面白いやつだな。好きにしろ、だが学校では俺に敬語はやめろ。表にこの関係を出さない方が良い」


 「良く分からないですが、分かりました!」


 そのあとは二人で部屋を片付けた。落ちにくい血の跡もしっかり落とし、荒れた部屋も元に戻して灯りを点けた。その部屋は少し寂しい感じがした。お調子者の父さんもおっとりな母さんも今はいない。だが絶対いつかは蘇生してやる、そして犯人を殺す。これが俺の当分の目標になった。この日は休みだったのでスタンを付き合わせ魔法の練習をした。俺は火属性の魔法がかなり使えた。上位魔法は魔力臓の容量が足りず全く使えなかった。他の攻撃魔法は中級魔法も失敗するくらいだった、精霊がいても魔法は難しい。それと便利な魔法もいくつか使えた。シルフィーにはここまで出来るのはかなりいいセンスをしていると褒められた。スタンはいつも通り何でもかんでも褒めてくる。


 「そろそろ帰るぞ」


 そのまま家に帰った。その日は商店街に行き飯を買った。スタンは今日家に泊まりに来るらしい。家に帰りそのまま飯を食った。そのあとはスタンの布団を出しもう寝ることにした。暗い部屋で布団に潜るとスタンは喋りかけてきた、なんか予想はついてたが。


 「なんだ?」


 「ドランさん、あなたは親が居なくなったのに落ち着いているのですね」


 「落ち着いているわけじゃない、目標が出来たからな」


 「目的とは?」


 「犯人の裏の者を見つけ、犯人を殺し、禁忌魔術を使えるようになり、両親を蘇生する、だ。だがお前は人殺すのはお前には抵抗があるだろう。お前こそ大丈夫なのか?」


 「……頑張ります。それに人間は同族の根源を壊すと少しずつ変心していくと言われていますし……」


 「まぁ気にするな。お前には殺させないようにするさ。そんな震えんな」


 震えていたと言う事はやはり抵抗があったのだろう。だが無理に付き合わせる必要はない、これくらいの優しさは俺にはある。


 ――な~んかスタンっていう子、実際にあなたに忠誠を誓う配下みたいだね~! で君は魔王、みたいな!


 ――茶化すな、俺が魔王になんて、蘇生条件に入ってたりするのならなるかもしれないがな


 ――あなたが魔王になるのなら私も普通以上の進化が出来るような気がするし賛成だよ~!


 ――お前が賛成かどうかなんか聞いちゃいないがな、とりあえず寝る


 ――そっか! 私も睡眠のような事するのでね! おやすみ~


 精霊も睡眠をとるなんて初めて聞いた、てか今日初めて精霊と会話した。そのあとはなかなか寝付けずに二時間ほど布団でゴロゴロしていた。そのあとは、悪夢を見た。俺もかなり動揺していたのだろう。

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